Roots --あたしが私に還るとき
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みぅ


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あの渦の正体は、大人になった現在の私にならもうわかる。先生の予言どおり。

あれは、性欲。肉欲と云ってもいい。だったのだ。
心で想い、自分に酔うハツコイなどとは程遠い、対極にあるもの。
心より先にカラダで男を求める--そんな経験を、初恋より先に、あたしは12歳という幼さでしてしまった。

『オトナニナレバ、ワカルヨ』
実際、その言葉は呪いだった。
その後のあたしに致命的なほどおそろしい後遺症をもたらすこととなる。

けれどもあたしにとっての唯一の救いは、単に今生きていることではなく、彼を許すことができたこと。
まさか。憎んでなどいない。
そもそもあたしの渦に巻き込まれた彼こそが被害者だったのだから。

◆

あれ以後、先生と二人きりになることはしなかった。
あたしの方からいろいろと理由を作っては撮影を断ったのだ。

彼は少し残念そうにも見えたが、微かに安堵している表情も見て取れた。
他の子供を撮影しているという様子はなかった。

その後中学校にあがり、部活が多忙になったこともあって教会へ通うのはやめ、先生と顔をあわせる機会もなくなり。

偶然だろうか、あたしが25歳になった秋に先生が結婚したと母に聞かされた。
あの時の彼と同じ年齢、あの季節。
あたしは、
「先生は38歳かぁ。初婚のわりには晩婚気味ね」と感想を述べた。

悲しくはなかった。むしろホッとした。
あの出来事を境にロリコン趣味に目覚めたりはしなかったんだ。

あれから13年。呪縛が解けるように感じた。
実際には解けてなどいなかったのだけれど。

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