Roots --あたしが私に還るとき
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『また、会える?』
部屋を去る際、邑瀬があたしの背中に訊いていたのを思い出す。
同じことを質問したくてできなかったあたしには、答えられるはずもなかった。
『俺ね、最低の嘘つきなんだよ』
--ホントにそうね。
あたしは想った。
想うだけではなく、実際口に出して呟いていたかもしれない。
知らない街の荒れすさんだ景色を眺め、もう嘘はヤメだ、と心に決めた。
『俺、妹いないから』
--嘘つき。
『国籍が違うってのがネックで』
--ウソツキ。
でも、あたしには全てが真実だった。
『俺ね、最低の嘘つきなんだよ』
その日の彼の言葉に、嘘はなかった。
真実は、闇の淵に堕ちてからしか見えないこともあるのだ。
『愛してた。理由なんてない』
--好き、に理由なんて必要なんですか。
『まだ間に合う。拒否ってくんないか』
--貴方デナケレバ、ダメナンデス。
イタイ。
イタイノ。
逝ク、逝ッチャウ。
ユルシテ。
ユルシテクダサイ。
モット、クダサイ。
弱さもイタミも、貪欲という罪の前には簡単にお互いを傷めつける甘美な凶器となりうる。
罪を抱えた者同士、傷をえぐり出し貪り合った。
あたしと邑瀬は二人共に身のうちにある罪を認めないまま出会い、その罪によってつかの間惹かれ合ったに過ぎない。
そして互いに懺悔し傷つけ合うことで離れた。
それから二度と、邑瀬と逢うことはなかった。
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