Roots --あたしが私に還るとき
Roots --あたしが私に還るとき
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ふわふわと、ただ宙に漂うような二年間。
短期大学生活が始まると、澤村からの連絡はほぼ毎日になった。
ようやく携帯電話でショートメールというものがやり取り出来るようになった時代。
遠距離通話の電話料金がお互い馬鹿にならないので、専らショートメール頼りだったがそれも毎日となると経済的にも精神的にも辛かった。
お互い、会うための旅費も必要だった。
あたしは花屋のバイトを辞め、年齢を20歳・大学三年生だと偽って自宅最寄りの駅前にある正統なショットバーで週に数日だけ働き始めた。
学校帰りに出勤するには良い立地だったし、時給が良かったから。
もちろん澤村には内緒で。
その店は狂信的なシングルモルトスコッチ好きのオーナーマスターがカウンターに立ち、常連客は皆ボトルキープをしているような店だった。
あたしは時々カクテルを作ったり、テーブル席への配膳をしたり、ロックアイスを丸く削ったり、フード類を調理したりする。
自前の白いブラウスと黒いスカート。
口の両端を上げてカウンターの片隅に立っているだけで、すぐに常連客には気に入られた。
そういう客達に勧められた時には少しお酒を味わうコトもあった。
落ち着いた大人達と自由な空気。
週にたった数時間だがそれがあたしにはものすごく有意義だった。
一方、短期大学での学生生活も私の予想を遥かに上回る快適さだった。
附属の女子高校から上がって来た娘達もいたけれど、大半は私の様に外部から受験し、かなり遠方から入寮や一人暮らしをしてまで入学してきたという娘も珍しくなかった。
お互い知らない顔ばかり、が当たり前の環境。
それが心地良かった。
あたしはすぐに数人の娘達と打ち解けて、ランチの時などだいたい決まった顔触れで過ごすようになった。
こういうことは、それまでのあたしにはなかったコトだ。
あたしは、新しい自分を満喫していた。
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