Roots --あたしが私に還るとき
Roots --あたしが私に還るとき
みぅ


44ページ目

正直、自分でも不思議だ。

実際こんな風に無理矢理犯されたら、嫌がる女性の方が多いだろう。

恋人や夫相手に“デートレイプ”を訴える人すらいるご時勢だ。


でも、あたしは違った。
解放されたような--なんともいえず清々しい気持ちだったのだ。

そんな風に思う自分が、普通じゃあないコトもわかっていた。

それでも、その時に得た説明し難い“精神の平穏”をあたしは歓迎をもってさらりと受け入れてしまったのだ。


澤村もまた、普通のセックスでは満足できない性質だったらしい。

あたしは、初めて澤村を愛しいと感じ始めていた。



「あのさ、みぅ…」
ベッドカバーを取り、綺麗な真っ白いシーツの上に座って脚に引っ掛かったショーツに手を伸ばしたあたしに澤村が云う。
彼にしては珍しく、少し言いにくそうに。

「これからもたまに…縛ったりしても構わない?」


一瞬考え込むふりをしてあたしは答えた。

「…先輩がしたいなら…。いいよ」

つるん、とした生地のショーツ。
ホントにカラスアゲハの羽根みたいだ。
ネイビーのロングソックスを履いた脚から外す。

「本当にイイのか?厭じゃなかった?」

視界の端で澤村が喜びを抑えつつ興奮に沸き立つ様子をとらえた。

黒い布切れ。
両手の平で包み込み握りしめる。

あたしはその時、彼の眼を見ないようにしていた。
何故か見てはいけないような気がした。


--受容。


あたしが彼の蟲籠にとらえられた瞬間だった。

果てしない独占欲に。



←前 次→
最新
採点
戻る トップへ
総合テキスト投稿&無料HP作成
(C)Chaos-File.jp