Roots --あたしが私に還るとき
Roots --あたしが私に還るとき
28ページ目
壁の薄い、木造文化アパート。
昨夜は意識しなかった隣人のことが、急に気にかかりだす。
「ホントに…やめて…ッ、声、ガマンできな…、ぁあっ」
あたしの訴えに彼は掛け布団を剥いで顔をあげ、悪戯っ子のような表情を見せた。
「いいよ、いっぱい声出してみせて…」
冷たい朝の空気が両脚に触れ、膚を粟立たせる。
閉めたままの厚いカーテンの隙間から入り込む光が、室内の風景を昨夜とは違うものに見せていた。
或いは、昨夜とは違うあたしになったからそう見えるのか…。
「あっ…恥ずかし…、やあぁっ!…ぁんんッ…」
許可を得たあたしは、それでも別のコトを考えて自らを抑えようとしたが耐えられずに激しく身悶えし、声をあげた。
『こんなコト、イケナイ』
そう思えば思うほどに、カラダは強い刺激を享受してゆく。
「クリトリスが、弱いんだ?」
尋ねる声。遠ざかる。
あたしは夢中になった。
両脚を伸ばし、足の指を折り曲げて快感を貧る。
脚の間で蕾を啄み(ついばみ)続ける彼の頭に、両手をかける。
溢れ出る蜜がシーツに零れて拡がり、臀部にひやりと触れていた。
沸き上がる快感が--理性と羞恥心を凌駕してゆく。
愛情だとか、恋しいとか、そんな気持ちの何が役に立つのか。
心なんて、カラダの快楽の為には邪魔なだけだ。
『…サイテイだ、あたし』
そう、心の内で自嘲の台詞を自らに吐き捨てた瞬間--
「っあぁっ!やっ…!あん、あっ、あー…」
初めて、自分の指以外のもので--あたしは達してしまっていた。
採点