Roots --あたしが私に還るとき
Roots --あたしが私に還るとき
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すべてが終わった後の澤村の腕の中。
他人の肌の、匂い。
あたしより先に眠って寝息をたてる彼の横顔を、安らかな気持ちで見つめることはできなかった。
悪魔が囁く。
『オトナニナレバ、ワカルヨ…モウワカッタカイ?』
そう。
あたしは解ってしまった。
愛がなくてもカラダは快楽を甘受することができる。
愛がなくても強烈な欲望がカラダを暴発させてしまうこともあるのだ。
--これが、あの日先生があたしを弄った理由なの?
『オトナ』になれば、姦淫の欲望を抑えなくても赦されるの?
2年前の同じ日に、澤村を巻き込み溺れさせたはずのあたしの渦。
それに溺れていたのが、ほかならぬ自分自身だったなんて…。
あたしは、眠れなかった。
そしてあたしはそのクリスマスイヴの夜が明けるまでに、自分のカラダに潜む悪魔によって心を凌辱され尽くしていた。
呪いの発動…。
シーツの上に、ほんの少しばかりの紅いシミ。
眠りに就く間際、それを認めて微かに満足げな表情を見せていた澤村。
だが、あたしには不吉な烙印のようにしか見えなかった。
アルバイト先の花屋、その店先を想起する。
--色とりどりに咲き誇る華々しい色合いの何処にも見当たらない、毒に満ちた紅い色…。
あたしのカラダの奥底に、蜜を湛えた花が根付く。
心の闇にだけ咲く、三色スミレに似た紅く穢(けが)れた花が。
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