Roots --あたしが私に還るとき
Roots --あたしが私に還るとき
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『愛は、惜しみなく与えるもの』と聖書は語る。
では、あたしの行為は愛ではなかったのか?
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「…水クサイなぁ、みぅ。旅行に行く、って…大学に行ったアノ澤村さんのトコロに行く気なんでしょ?」
この小旅行の前、“口裏合わせ”の申し出に由美は思わぬ反応を返してきた。
この日まで誰にも知られていないと思い込んでいた澤村との交際は、実は一部の同級生には周知のものだったらしい。
あたしは顔が熱くなるのを感じた。
「知ってたんだ…」
「うん、アタシだけじゃないよ。よくうちのクラスで野球部の奴が騒いでたからさぁ。澤村先輩がみぅを狙ってる、とか付き合いだしたらしい、とかイロイロ」
あたしは、“大きなお世話サマ”に呆れると同時に、ショックを受けていた。
--澤村は、周りに知れ渡るほどにあたしを求めていたわけだ。
それにひきかえあたしは…?
「ねぇ、澤村さんとはどうなの?もうエッチしちゃったの?」
「ううん、まだ…」
思わず白状していた。
しかも、『マダ』だなんて。
「えーっ!じゃあもしかしてアッチ泊まりに行って…今回こそはヤラレちゃうわけだ!?やだぁ、みぅも見掛けによらなくない?ダイタンなトコあるよね?」
由美は大ハシャギしていた。
--チガウノ。
由美の言葉に些か違和感を覚え、内面でひそかに反撥する。
--『ヤラレニ』行クンジャナイ。
『ヤッテモライニ』、行クノ。
そうだった。
あたしには、自らのカラダを男への捧げ物のように与える、なんて価値観はなかった。
『オトナ』になるために、彼とセックスをする。ただそれだけ。
澤村の想いを知りながら。
そのような目的で、手段を選ばず彼に抱かれることは与える行為ではない。
例えあたしが受け身であろうと、それは奪う行為だ。
もう一度云う。
--アイシテナド、イナカッタノダ。
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