Roots --あたしが私に還るとき
Roots --あたしが私に還るとき
19ページ目
◆
澤村との交際が始まってから、学校生活はますますツマラナイものになっていった。
休暇ごとに地元に帰って来る澤村と、時々会って食事をする。
年に数度だけの清らかな逢瀬。
“先輩”、と呼び慕うようになった。
一年以上、そんな状態が続いた。
それはそれは清いオツキアイ、だった。
キスをしたのはいつだっただろう。もう忘れてしまった。
いつの間にか、高校三年生になっていた。
あたし達はどのようにして“その日・その時”を迎えたのだったか--。
いつしか、『一度コチラニ来テミナイカ』と言い出したのは澤村の方が先だったが、それに応じる為アルバイトを増やして往復新幹線のチケットを用意したのは、あたし自身だった。
18歳のクリスマスを、澤村のアパートで過ごす為に。
渦。呪い。
『オトナニナレバ…』
--戸惑うことなど、もう無かった。
勿論、それなりの緊張や躊躇いがまるきり無かった訳ではない。
『部活の遠征合宿』だと親についたウソの口裏合わせを工作するためとはいえ、アノお喋り好きな由美に澤村との交際を白状したことを後悔してもいた。
◆
「いいのか…?」
暗闇の中でキスをした後、カタチばかりの確認をした澤村があたしの上に覆いかぶさる。
初めて間近に見る、眼鏡を外した彼の顔…。
木造アパートの一階、角部屋。エアコンなんか、無かった。
ふたつある窓と床から染み渡る冷気が、露わになってゆく肌をチクチクと刺す。
採点