Roots --あたしが私に還るとき
Roots --あたしが私に還るとき
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回転するものにはすべて、その中心へ引き寄せる求心力の他に、外側へ吹き飛ばしてしまう遠心力も同時に備わっている。
あたしの“渦”もまさにそういう性質のものだった。
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結局ヒロアキとは長く続かなかった。
当然と云えば当然だろう。
イヴの一件以来、彼はあたしとの連絡を避けるようになった。
冬休みはお互い部活動に没頭し、ヒロアキの所属するサッカー部の試合観戦にもあたしは行けなかった。
年が明け3学期に入ってすぐ、あたしはヒロアキを呼び出した。
部活後、校舎の階段の踊り場。
誤解があるなら解きたかった。
しかし現れた彼はまっ先にこう言った。
「別れよう」
もちろんショックはあったけれど仕方ない、とも思えた。
「俺ら、ただの同級生に戻ったほうが良いと思う」
「…どうして?」
日が落ちて、暗くなった踊り場ではヒロアキの表情がよく見えない。
「重い」
と彼は簡潔に答えた。
踊り場に設けられた手摺りに力無く寄り掛かって、ヒロアキの顔を見つめる。
「もう、駄目なのね?」
「うん…想いに応えられる自信がないから」
うなだれるヒロアキ。
それであたしはやっと理解した。
彼への過剰な期待と失望を見透かされていたと知り、自分を恥じた。
逃げ出したかった。
次の刹那…。
「…ッん…」
突然、あたしの唇は奪われていた。
彼も初めてだったのだろう、歯がぶつかり、あたしは少し微笑った。
「ゴメン、つい」
見たこともないような表情をした男が、急きこんで呟く。
あたしはどんな表情をしていただろう?
何も云わず、ただ眼の前にある男の顔を眺めた。
あぁ、そうだった。
この顔がすごく好きだったんだった、と思い出す。
--渦が回る。
右手の人差し指を挙げてみせ、ヒロアキはさらに云った。
「もう一回、イイ?」
あたしはうなづいた。
二度目はとても上手にあたしの唇の裏側をあたたかい舌先でなぞり、その両手の重みがあたしの背骨の両側に静かな波紋を拡げた。
長いキス。
--フラれたその日に、その相手と初めてのキスだなんて。
不思議に冷静な意識の裏で『あたしラシイ』などと思う。
彼は元々あたしの渦の外側にいた人。
遠心力に弾き飛ばされるしかなかった。
それだけは、間違いない。
たぶん。
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