Roots --あたしが私に還るとき
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私立校にしては珍しくリベラルな校風であったので、男女の交際を特別視する傾向は無い。
が、サッカー部や野球部、ラグビー部など男子部員のみで構成された部活動所属者だけは例外で、不文律として“男女交際は控えること”とされていた。
そのせいでヒロアキは周囲をいつも気にしていた。
そしてそのせいで、言いようのない寂しさと不安にかられたあたしは、絡み付くように彼への不信感と束縛を強めて行くこととなった。
登下校時にバスで澤村と出くわすことが増えた。
ある時、気乗りしないながら携帯番号を交換してしまい、その存在をより意識するようにもなっていた。
それでも表面上はこれといった変化のないまま、その日が訪れた。
クリスマスイヴ。
あたしはヒロアキと映画を観に出掛けた。
両親は例年どおり夕方から教会のクリスマス礼拝に行き、留守だ。
夕飯には家族で外食をするのがクリスマスの慣わしだったが、今年は『友達と出掛けてくるから』と断ってあった。
映画館を出たところでその事を告げると、
「ふぅん…」
ヒロアキは、眼前に餌を置かれた空腹な老犬のような目つきをして暫し考え込んだ末、
「それは、お邪魔しちゃっていいってコトなのかなぁ?」
控えめだが、“ある期待”をその目に宿して尋ねてきた。
「そういうコトね」
微笑し、さりげなく答えたが--それにしても卑怯な尋ね方だ、と思う。
あたしが誘ったのだ、と云うイイワケを彼は予め準備していたのだ。
さめざめとした冬の空気の真ん中で、あたしも醒めてゆくような気がした。
予感は、あった。
自宅の前を通る路地。
そこへの曲がり角。
ヒロアキと二人でその角を曲がった時、あたしはその予感の正体を目にした。
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