日本における自殺
日本における自殺

[1]歴史
[2]現代の自殺
[3]対策
[4]自殺の原因
[5]性差
[6]地域差
歴史
日本においては、歴史的に自殺がひとつの文化として捉えられている。日本の文明が始まる頃から自殺は行われていたとされており、文字が書かれた頃から文献として多数自殺の記録が存在している。

明治天皇崩御のおりに乃木希典夫妻の殉死が行われるなど、特定条件下での自殺は美談として扱われた。切腹・心中・特攻・自爆・殉死など、自殺に准じる行為が様々な状況で扱われている。

現代の自殺
1998年から自殺者数が3万人以上に増加した。それまで約2?2.5万人程度であった年間の自殺者数は、1998年を境に急増して3万人を超え、それ以降3万人超となっている。自殺者の70%以上が男性であり、1998年以降、自殺者数が急増した要因も男性、特に中高年男性の自殺増加によるものであった。2003年には、年間自殺者数が3万4千人に達し、統計のある1897年以降で最大となった。自殺率も27.0と過去最大となった。なお、女性より男性のほうが自殺者数が多いのは、女性はたとえ独身であっても家族や社会の状況に組み込まれているが、男性はより孤立しているためとされている。

膨大な数の統計学的・疫学的研究は、文化(宗教・教育)と生活様式(都会暮らしか田舎暮らしか)と家族の状態(独身か既婚か)、社会的状況(失業者や囚人など)が自殺行為に重要な意味を持つことを明らかにしている[14]。自殺者数の動向については、過去にも1958年と1983年に一時的に増加する動きがあったが、1998年以降の自殺者数の増加については、過去のものとは動向が違い、経済・社会的な要因が影響している可能性があることが指摘されている(詳細は「平成10年(1998年)以降の自殺死亡急増の概要」(国立保健医療科学院)を参照)。

自殺者が多い曜日は月曜日である。これはブルーマンデー症候群の影響があると見られる。逆に少ない曜日は土曜日で、男女ともに同じ傾向である。また、月別では5月が一番多い(月別については、「平成10年(1998年)以降の自殺死亡急増の概要」(国立保健医療科学院)を参照した)。

年齢別に見ると、40代から60代前半にかけてが自殺率は最も高い(2003年度資料)。 40代から50代にかけては、経済的な理由などから生活苦に陥り、それがもとで自殺に追い込まれるケースが多い。そのために過労自殺を行うのもこの年齢層が多い。 しかし60代以上になると経済的な理由よりも健康面での不安が自殺の理由になることが多く、40代50代と同様に自殺率は高くとも、その理由は別のところに現れてくるので注意が必要である。

ちなみに、割合としてはもっとも低いのが20歳未満の自殺であるが、20歳未満では学校生活を行っているため、他の年齢層と違って学校での問題が自殺の原因のトップになっているほか、思春期も重なるために失恋等男女問題も他の年齢層より大きな割合を占めている。

とりわけ学校での問題は20歳未満でトップの割合を占めているが、これは複雑化した学校でのいじめによるものばかりではなく、親の叱責や暴力、教師による暴力的・精神的・性的な嫌がらせが原因であったり、あるいは過度に自己中心的な親に疲れたなど様々な理由がある。 この様々な理由が、同時にこの年代の自殺率を減らす障壁となっている。 特に現行法のもとでは、親権を持つ保護者(親)が、子供がいじめにあっているはずがない、自分が子供を責め立てていることはないなどと否認してしまった場合、自治体や警察、子供の保護施設やボランティアは、裁判所の許可が下りない限りそれ以上手を出すことが困難なことも壁の1つである。

対策
現在の日本においても、自殺は犯罪とはされていない。しかし、飛び込み自殺などにより第三者に被害が発生した場合などには、被疑者死亡で送検され、遺族に損害賠償が発生する可能性がある。また、他人の自殺に関与することは犯罪(自殺関与罪、自殺幇助罪)とされる。また、本人の依頼がある場合でも、人を殺害すること(同意殺)は犯罪と扱われる。

2005年7月、参議院厚生労働委員会で「自殺に関する総合対策の緊急かつ効果的な推進を求める決議」がなされ、同年9月には第1回「自殺対策関係省庁連絡会議」が開催された。しかし、後述の日本における行政の課題も示すように、課題も多い。高い水準で経過する自殺者数を受け、2006年10月28日、自殺対策基本法が施行された。

自殺の原因
若年層の学生については、イメージとしては入学試験や単位認定といった学業、就職活動や資格取得などの進路や、ちょうどこの時期に思春期を迎えるために失恋などが一般的に言われる。実際には、文部科学省の「生徒指導上の諸問題の現状について」によれば、2004年度については一番の原因は「厭世」で、以下「父母等の叱責」「精神障害」「進路問題」「学業問題」「恋愛」の順となっている。

また、インターネットをきっかけとする自殺がある。一つは、インターネット上で知り合った者同士が一緒に自殺をするものである。これは、七輪と練炭を用いた一酸化炭素中毒死であること、初めてあった人物と死を選ぶことの奇異性などからマスコミが大きく報道し、全国に知れ渡った。もう一つは、インターネット上での誹謗中傷等により苦痛を受けて自殺に及ぶ事例である。これは、山梨県における女子高生の自殺未遂等の例である。韓国でも、ネットでの中傷をきっかけとした人気芸能人の自殺が相次いでおり、ネット実名制が部分的に導入されることとなった。

中高年男性については、疾病等健康問題、経済的困難が多い。リストラ、無理な住宅ローン返済などが影響しているとの見方が強く、不況になるとリストラが増えることから指標として取り上げられることがある。

他には、いわゆるサラ金からの過酷な債権回収が遠因とされるものも数多くあると考えられている。消費者金融業者の多くは顧客に貸金相当の生命保険をかけており、「生命を担保に金を貸す」顧客が死んでも貸金を回収できる(これについては、2006年に行われた貸金業規制法改正議論に関連して生命保険会社が非難され、生命保険会社各社は「債務者への生命保険は取り扱わない」というコメントを出した)。また、金融業者が保険金目当てに毒殺した埼玉のトリカブト保険金殺人事件(2000年)など、警察の怠慢により保険金殺人事件が自殺と思われて見逃されていた例もいくつかあるといわれる。

性差
ほとんどの国において、男性の方が女性よりも自殺率が高く、日本では自殺者の70%以上が男性である。しかし、中国のように自殺率にほとんど性差がみられない国もあることや、日本においても景気変動によって自殺者数が大きく変動することなどから、自殺率の性差は生物学的要因によるとは考えにくく、社会的・心理的要因が関与していると考えられる。(なお、日本ではうつ病は男性より女性のほうが罹患しやすいとされている。)

地域差
地域的には、秋田県の自殺率が1990年代半ばから毎年全国ワースト・ワンを記録し、注目を集めた。21世紀に入って秋田県では自殺予防のための様々な取組みが行われ、2003年の自殺者数は3年前に比べて27%減少したとされるが、依然ワースト・ワンの地位を保っている。

秋田県のほか、同じ東北北部の青森県・岩手県や、日本海側の新潟県、富山県、島根県などで自殺率が高い。これらは地域産業が衰えたことによる「経済面」と、病院の数が減少することにより病気になり、病苦によって鬱になるなどの「健康面」の2つが大きな理由に挙げられている。

特に日本海側では曇天と降雪が続く冬に自殺が多発するとも言われる。こうした気候は東北地方の県民性を形成する要因となったと考えられるが、一方でその気候が人間心理に否定的な影響(季節性感情障害または冬期性うつ病)を与え、これらの症状が稀にではあっても強く出る人、悩みを抱える人を死へ走らせる要因になっているとも考えられる。


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