あもトイレ・愛の名作劇場 ?mari qui estime sa femme?
あもトイレ・愛の名作劇場 ?mari qui estime sa femme?
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歩行者用の信号が点滅し始めた頃には、私の興味はすでにその青年からは削がれていた。フェンス越しを魅惑的に射ぬいていた目線はもう、備え付けのCDケースに向けられている。この前購入したフジコ・ヘミングのCDを探しているのだ。横目でちらっと確認すると、グラウンドの彼はまだ私を凝視している。そんな憐れな野球男に見せ付けるように、運転席でうなだれる彼の方を向き
「ねぇ、あのCDどこにやったっけ?」と尋ねながらピタリと身体をくっつけた。憧れの奥様が旦那と戯れる姿を見、嫉妬する若者――お昼のドラマによくありそうなシチュエーションだが、おかげで信号が青に変わる頃、もう一度青年を見直すと、男は私の方をチラチラ気にしながら子供たちに八つ当りしていた。そんな姿に一笑し、私は再びCDを探す。やがて流れ始めた車は、グランドを完全に横切っていった。その間私が青年の方に目線をやる事は無かった。
混雑を極めた公道からようやく抜け出し、今は閑静な住宅街を我がもの顔で走っている。ひとっこ一人いない味気ない道では私の緊張も解れてしまい、だらりとシートに背中を預け、ダッシュボードに足を乗せている。前から見たらパンティが丸見えだ。しかし横にいる彼からは、折り曲がったスカートから伸びる太ももしか見えないだろう。彼の堅い手がそんな私の脚を性的にまさぐり、股間に手を侵入させてくるのを想像してドキドキした。雨は本格的に降り始めて、それを指揮するようにリストの【ラ・カンパネラ】が車のオーディオから演奏されてくる。官能的な状況ではあったのだ。
彼の手――想像の中では今、私の小粒を弄んでいるその指は、鮮やかにハンドルを切り、ただひたすらに帰路を辿っている。私の欲望なんて露ほども気付いていないのかしら、一寸の狂いもないドライビングテクニックだ。曲がりくねった道を踊るように切り抜けていくと、やがて豪勢なマンションが姿を現した。利用者専用のプールやカフェ、地下にはトレーニングジムが付いているのだから普通ではない。駐車場も設けられただだっ広いスペースに適当に停めるのではなく、個人個人専用の車庫を利用するのだ。一戸建のガレージぐらいの余裕はあるだろう。そしてその車庫にはエレベーターまで付いている。もちろん、部屋まで直通で運んでくれるこれまた専用のエレベーターだ。
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