黒く、暗く、囀りて
黒く、暗く、囀りて
折原浩平


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眼前より届く悲鳴。
後頭に響く歓声。

無芸な突進を繰り返す畜生の群。
爛々と燃える瞳を剥き出しに、汚物を撒き散らしながら昆を振るうその姿は正に醜悪と呼称するに相応しい。

開戦より三日
永遠に続くかと思われた喜劇はようやく終幕の時を迎えていた。

一面の荒野に降り注ぐ炎の雨。
悲鳴と共に先程の悪臭が嘘のような、何とも香ばしい匂いが死地に漂う。
畜生は転げ回る焼肉(どうぞく)に進路を阻まれ炎は益々その勢いを強めていく。
水得た魚とは全くこの事か。

最早恐れるものはないと突撃を掛ける人の一軍。
彼の指揮官殿、余程豚肉がお好みらしい。
我先にと肉塊に詰め寄るその姿、端から見れば行儀の悪い幼子そのもの。

では悪態つけど火中に紛れ死肉を漁るそなたは何か?
問えど答えはなく。
しかしよく見れば確かな事柄一つ。
魚(そなた)にとってのあの畜生
正に清流ながるる清水であると私は見る。

赤黒い鉄屑を縦横無尽に振るい。
血糊を喰らって喜劇を飾る。
ひしゃげた四肢は如何な芸術品より麗しく。
潰れた瞳は宝石の輝きにも遜色ない。

楽園失われ幾数年。
此処は喜劇の舞台ラグナロク。
されど舞台は続く故。
どうぞごゆるりと御覧あれ。
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