がんばらない。でも、あきらめない

伊達屋酔狂

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カオス・ストーリー23
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サヤは幼なじみの女友達。

男まさりのやんちゃなヤツで、何事に対しても気おくれしない性格は、年上のオレが見てもホレボレするくらい男前だ(笑)。

こいつが、オレより先に中輪(中型二輪)の免許を取ったとき、そのハシャギっぷりったらなかった。
バイトで貯めた貯金を頭金に全部つぎ込んで、手に入れたピカピカのマグナをやたらと自慢していた。
女のクセに、このアメリカンスタイルのゴツいバイクが似合うときたもんだからまた悔しい。
なにかにつけオレをケツに乗せたがり、そのたびに優越感に浸ってた。
「ウチがピーター・フォンダで、オマエはデニス・ホッパーな」
なんて生意気なコトも言ってたっけ。
オレらは、行き当たりばったりのツーリングの旅に出る計画を練ってたんだ。

サヤがバイクで事故って病院に運ばれたって知らせを受けたのは明け方の5時すぎ。
マッツンがいきなり部屋にやってきて、寝てるオレを叩き起こした。オレのケータイは2、3日前から料金未払いで停められていた。
馬鹿騒ぎ仲間のマッツンは『バカヤロォ!』を連発しながら、オレを大雨の降るおもてへ引きずり出し、オンボロの軽自動車の助手席にオレを押し込むと、全速力で病院へと向かった。

オレはまだ寝ぼけていた。夢と現実の境がわかってなかった。
ただ、朝なのに空は真っ黒で、バケツをひっくり返したほどのひどい雨が、フロントガラスに滝のような模様を作っていたのは憶えている。

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