ぼくのおもちゃ

あも

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カオス・ストーリー23
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歩き慣れた道程がいつもより長い気がする。
後ろ目でチラリと笠原の様子を伺うと、俺と一定の距離を保ちながらなんとか付いてきている。


顔が赤いし、手と足が細かく震えている。


…かわいそうだけど、笠原の気持ちには答えられそうにない。


ごめんネ。


俺は心の中で詫びを入れる。
そして、そうこうしてる間に、部室まで辿り着いていた。

中には予想通り誰もいない。


中間テスト前に部室に来るヤツなんて俺ぐらいしかいない。

しかも部活までしようとしていたからね。



「…やっぱ誰もおらへんわ。んで、話ってなんなん?」


俺から話を切り出す。笠原に任せたまんまじゃ、会話の口火が切られそうに無いからだ。


「あ!あのっ…ぁ……ぇと…」

やっぱりテンパってる。俺はせめてもの償いとして、笠原が落ち着くのを気長に待った。



「あの…こ…甲本先輩…」




「わっ……私と……」



よしよし、あともうちょっとだ。

がんばれ。



「私と……」



“付き合ってください”だろ。早く言っちゃえよ。





「………………私と……………セックス……してくれません……か…?」







「はいぃぃぃぃい!?」

笠原の唐突な発言に、思わず顔を歪めまくってしまった。


セックス?


セックスって何?


いやいやセックスはセックスやけども…


笠原が?



純情そうでおとなしい笠原の口から「セックス」という単語が出るだけでも驚きなのに……



「セ…セックスて…。笠原、意味わかってる?食べもんとちゃうで?」


念のため確認すると、笠原は力強く頷いた。


「な…なんで…?」

予想だにしなかった笠原の言葉に脱力してしまう。


『ごめんやけど、俺今誰とも付き合う気ないねん。笠原は可愛い後輩やと思ってるよ』


…とビシッと決めるつもりだったのに…。

今の俺は信じられないほど情けない顔をしてるだろうな…。


「わっ…私、あの…」

笠原も狼狽えている。


こんな挙動不振な二人は端目から滑稽だろうが、当の本人達はお互いの意図を探り合うことに必死だ。

俺は深呼吸して、何とか冷静さを取り戻そうとした。


すると笠原も少し息を整え、俯いていた顔を少しあげる。


そして、言いにくそうにしている、重い口を開けた。

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