ぼくのおもちゃ

あも

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カオス・ストーリー23
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「ぁの…甲本先輩っ!」

―授業も掃除も終わった午後、クラブ活動をするため一人部室への道(廊下だが)を歩いていた俺に、誰かが声を掛けてきた。


「ん?」

振り返って見ると、見慣れた女の子がモジモジしながら後ろに立っていた。


「おぉ、笠原。どーしたん?」


意外な人物に声を掛けられちょっと驚いた。


笠原は俺の所属してるクラブのマネージャなんだけど、おとなしくて内気な笠原と俺は、今まで会話らしい会話をしたことがない。


ってゆーか俺が話し掛けたらすぐ赤くなって俯くから、こっちも絡みずらくて。


その笠原にいきなり呼び止められ、俺も少し戸惑ってしまう。


「あっ…の、は…話が…ぁるん…ですけど……」

笠原があまりに小さな声(しかも過呼吸気味)なのでうまく聞き取れなかったが、確かにそう言った。


「話?俺に?」


尋ねると、笠原が顔を真っ赤にしてコクコクと首を縦に振った。



あ?あ、俺コクられるんかなぁ…。


勘違いではないと思う。笠原は誰にでも内気だが、俺が近くにいるときは尋常じゃないほど顔を赤らめ、特に緊張しているからだ。


部活一緒の奴らからもさんざん言われてきたし、でもこんな内気な子が告るワケないと思ってたから気にしてなかったけど…


顔は、まあまあ可愛い。
けど、こんな扱いづらそうな子はパスだな。



「ここで話す?それとも部室行く?たぶん今やったら部室誰もおらんやろうし」

何を言われるか、わかっていてもわからないフリをする。
俺は本当に何を言われるのかわからないほど初心ではないし、目先の告白にホイホイ引っ掛かるほどウブでもない。


「あ…部室で…」


俺が出した二択に、笠原は迷う事無く後者を選んだ。


ありがたい。俺もいつ誰が通るかわからない廊下で笠原と気まずい時間を過ごすのはイヤだ。


部室なら二人とも慣れた場所だし、笠原の緊張も少しは解れるだろう。


それに部室に行くまでの間に、どうやって断ろうか言い訳を考えることもできるし。


でも何て言ったらいいか。

これが原因で部活来なくなったら困るしなぁ…。

笠原の性格上、登校拒否になるかもしれないし…。


下手すりゃ自殺…


うん、優しく、優しく断ろう。

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