魔王様の暗々裏
魔王様の暗々裏
倉間九十九


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太陽が天辺から下りだして、随分時間がたった。まだ森の中にいても、なんとか太陽の位置を把握できるが、それももう後僅かな時間であろう。フォウス・クリセフィンは今仕留めたばかりの小熊を肩に担ぎ、野営地に戻りながらふとそう思った。歩く度に少し日焼けした、短めの金髪がサラサラと揺れる。

見上げると空は紅く、漂う雲にもうっすらと赤味がかかっていた。

エデアンの村を出てからもう三日。おそらく半分を過ぎたくらいだろうと、次の目的地までの道程を計算してみる。

野営地に戻ると、恐ろしく深い赤の髪をツインテールに結った、蒼い瞳の少女が焚火の前で手を当てていた。

寒いという時期では全然ないが、焚火の火を見るとついついやってしまうようだ。

「あ、王子。お帰りなさい」

「おい、その呼び方は禁止しただろ。ティナが聞いてたら話がややこしくなるだろ」

「あ、すいません。つい…」

紅髪の少女──エーレルがチロリと下を出して見せた。

フォウスはそれ以上は何も言わず、肩の小熊を地面に下ろしながら回りを伺った。

「そのティナはどこに行ったんだ?」

フォウスの脳裏に、嫌な予感がピリピリと走った。

しかしエーレルはそんなフォウスの予感に全く気付いていないのか、サラリと、

「さぁ?近くを探検してくるって行って、どっか行きましたよ」

「……あの馬鹿…」

フォウスが溜め息を着いた。






ティリーナ・バークスは、溜め息を着いた。

なんてこと……

前を見ると真っ暗で、

後ろを見ても真っ暗で、

左右ももちろん…

上を見上げると、やや高い所に円がぽっかり開いており、そこから赤い空が見えていた。

つまり、落とし穴に落ちたのである。ジャンプ程度では出られないくらいの深い穴に。

変な、見たことのない動物を見掛けたのだ。だから思わず追いかけた。そしたら──

フォウス、怒るだろなぁ…

そんな事を考えてみる。

しかしまぁ、ボケッと座っててもしかたないので、立ち上がる。お尻が少し痛い。

暗闇に眼がなれて来ると、前後に一本の通路があるのがわかった。

どうやらここは地下洞窟のようだ。この通路を歩いていれば、おそらく上に出られるのだろう。

ティナは自分が穴に落ちた不幸はもう完全に忘れ、

「ラッキー。外に出れるかも!」

と、適当な方向に足を進めるのだった。
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