魔王様の事情
倉間九十九
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ターゲットも逃してしまったことだしと、しぶしぶ今来た道を戻ろうと振り向いた時、
「よお、お嬢ちゃん。迷子かい?」
汚い服装に髭面の男が、少女の行く手を阻んだ。腰には安そうな長剣がぶら下げられている。少女はいきなり目の前に現れた男にたいし、警戒心をあらわに表情を固める。
「まぁそう固くなるなって。ちょいと俺達に付き合ってくれたら、命までとることにはなりゃしねぇからよ」
下卑た笑みを浮かべながら言った男の「俺達」という言葉に、少女は慌てて後ろを向いた。後ろにはいつの間にかもう二人、汚い格好の男が立っていた。少女から見て右が細いのっぽで、左がデブ。
「ジャガイモ」
少女が最初に現れた男に指をさして言った。当の本人は、あん?と眉を歪める。少女はそれに構わず後ろを向いてのっぽを指し、
「人参」
「へ?」
のっぽは目を丸くする。次にデブを指し、
「肉」
「肉?おいらが?」
デブは真面目に聞き返す。そしてまた正面を向き、
「後ルーと玉葱があったら、美味しいカレーが作れるのに。おしい」
と、棒読みした。
「あぁん?今の状況、わかってんのか?」
ジャガイモと呼ばれた男が、僅かに額に青筋をたてて一歩前に出た。
しかし少女は顔色一つ変えずに言った。
「わかってるよ。これから私が、この山の無法者達を叩きのめす、かっこいいシーンになるところ…でしょ、ジャガイモ」
その一言で、ジャガイモの怒りは完全に頂点に達したようだ。ジャガイモの手が、腰の長剣に触れた。
「ちょっと。こんな年端もいかない弱い女の子を相手にするのに、武器を使うってどんだけ腐った根性してるのよ」
そう言われたジャガイモは、
「関係ねぇ。獅子は兎を倒すのにも全力を尽くすってんだよ」
私はその兎にすら負けたんですが…
そう思い少し寂しい気持ちになったが、ジャガイモが慣れた動作で剣を抜いたので、ぼけっともしていられなくなった。
「しょうがないなぁ。そっちが先に抜いたんだからね。後悔しないでよね」
少女は溜息をついてそう言い、背中の短刀を不慣れた動作で抜いた。短刀といえども長さにして一メートル弱はある。まだ身長が一五〇に満たない少女が持つには、十分な長さである。むしろこれより長いと、一振りするだけで一苦労だろう。
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