真冬のこいびと
真冬のこいびと
浅野花火


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 「いらっしゃいませ。」
 「こんにちは。」
 「あ、吉岡さん。来てくれたんですね。」
 私は浩行に初めて会った試験の日から二週間程おいて、彼がバイトしているという花屋へ足を運んだ。本当は彼の働く(私の想像上ではかわいい)姿を早く見たい気がしたが、あまり早く行くと彼に気持ちがあると勘違いされそうだったから我慢した。実際彼への興味はあったし、店に行きたいのを我慢している時点で、彼への気持ちは十分にあったのだが、それを悟られるのが嫌だった。くだらない年上の見栄だ、と思う。 
 浩行は私の想像そのままに、店名の入った桃色のエプロンを身につけていた。しかし、いろいろな花の中にいる彼にそれほど違和感は感じなかった。
 クリスマスが近いから、ポインセチアの鉢が所狭しと並んでいて、彼はその中でごく自然に働いていた。
 「この仕事お似合いね。あ、嫌味じゃなくて。本当に。」
 私は言ってしまってから、嫌な意味で捉えられたらどうしよう、とヒヤリとしたが、彼は素直に受け取ってくれた。
 「よく言われます。天職じゃないかって。でもアルバイトなのに、ねぇ?」
 はにかみ笑いをする彼からは、会ってから初めて、年相応の若さみたいなのを感じた。
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