真冬のこいびと
真冬のこいびと
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「ごちそう様。ありがとう。でも学生さんにごちそうしてもらったなんて少し悪いわね。」
私は定食をあらかた食べ終えて、浩行にお礼を言った。
「いえいえ。大事な試験の日に筆記用具を忘れたまぬけは僕だから。きちんとお礼はしないと。」
私はギクリとした。さっき浩行に抱いていた感情を見抜かれていたのかと思い、私は苦笑した。
「それに僕、バイトもしているから気にしないで下さい。そうだ、もしよかったら。」
と言って、浩行は名刺サイズの紙を取出し、私へ渡した。
桃色の紙に『フローリスト純』と印刷してある。
「僕、ここの花屋でバイトしているので、いつでも遊びに来て下さい。安くはできないけど、花の二、三本はおまけできます。」
私は目の前の男の子が、花屋の店先にかわいい色のエプロンを身につけて、花を包んでいるのを想像し、心の中で笑ってしまった。あざ笑いではなく、かわいいなと思った。
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