真冬のこいびと
真冬のこいびと
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私はネイリストでも何でもないけれど、初対面の人の手に目がいってしまう。別にそれを見て何かわかる、というわけではないが。(清潔感とか几帳面さとか。)
男でも女でも、手が驚くほどきれいな人がたまにいるもので、男では浩行がその一人だった。
「本当に助かりました。」 浩行は本当に恐縮して、頭を下げた。
「いえいえ。困ったときにはお互い様です。」
私はエビフライをかじりながら言った。彼のはしの持ち方も美しかった。小さいときにちゃんと親にしつけられたのだろう。
「あの、名前を聞いてもいいですか?」
浩行が私の方を見て聞いてきた。
私は、これから名前を聞き、そして携帯番号やメールアドレスまで聞いてくるのだろう、と少しげんなりした。しかし、彼の顔つきからはそういうたぐいのチャラチャラした感じは、感じられなかった。
「吉岡真冬です。あなたは?」
「僕は工藤浩行です。そこのH大学の三年生。」
私は浩行が自分より三つも下なのを知ってとても驚いたのを覚えている。
子供っぽい目の輝きとか無邪気な雰囲気も無くはなかったが、老いのような悟りのような雰囲気が、それらを覆い隠していた。大人びている、としか表現できなかった。
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