真冬のこいびと
真冬のこいびと
浅野花火


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 ベッドからすぐに手が伸ばせるところに私のバッグはあるのに、その中にある携帯電話はどうしても取り出せなかった。
 ベッドに横になり、ぼんやりと壁にかけてあるカレンダーを見つめた。今日は何日だとか、クリスマスまであと何日だとか頭の中で考えてみるが、ちっとも記憶されていかなかった。私の瞳は幾度となくカレンダーの数字を往復した。

 「真冬、ごはんできたわよ。」
 一階から夕ご飯の匂いとともに母の声が聞こえ、私はふと我にかえった。
 「今いくー。」
 私はコートを脱ぎハンガーにかけ、クローゼットにしまった。そして一階に降りていった。

 「お父さん今日も遅くなるんですって。」
 「そう。」
 私の父は仕事が忙しく、夕食は私と母の二人で食べるのが当たり前となっていた。
 今日の夕食はおでんだった。寒さと恐怖にこごえていた私の体も心も温かくなっていった。沈んでいた私の思考がふわふわと良い方へ浮かんできた気がした。寒い日に食べる温かいものは何よりのごちそうだと思った。
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