真冬のこいびと
真冬のこいびと
浅野花火


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 「浩行、私はコーヒー。」 「じゃあ、コーヒー一つに、ココアとチーズケーキ一つずつ。」
 「はい。」
 初老の女性がにっこりほほえんだ。

 この喫茶店は老夫婦が営んでおり、おじいさんはコーヒーをいれて、おばあさんはウェイトレスで、洗い物は二人でしていた。カップの一つ一つにこだわりがあり、なんとなく飾られた花でさえ素敵なお店で、私は大好きだった。

 「またそんなに甘いものばかり食べるの?」
 私はあきれ顔で浩行を見た。
 「甘党なんだからしょうがないだろ。それにここのチーズケーキは甘さ控えめで・・・。」
 浩行が困った顔をして弁解するものだから、私はおかしくなって笑った。
 「チーズケーキ半分あげるよ。」
 「ありがとう。」

 浩行は目を細めて笑った。私はこの笑顔があまり好きではなかった。浩行の細くて澄んだ目が見えなくなってしまうから。

 私は浩行の目を見ていないと安心できなかった。浩行は素直な性質で、感情がすぐ表情に表れた。だから、彼から何を考えているかは、目を見ればすぐにわかった。ただ笑顔の時は、見えない目の奥で何かを考えていそうで、とても恐かった。
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