真冬のこいびと
真冬のこいびと
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雪はわずかに勢いを緩め、湿った雪から綿のような軽い雪へと変わった。そしてかすかな音をたて、傘の上にも積もっていった。私はたまに、その雪を傘をゆらしてふり落とした。
地味な柄の傘のえを握りしめながら、私は彼が送っていくと言わなかった事に内心ほっとしていた。老いの雰囲気を身にまとった彼と歩くのを想像したら、少しゆううつになった。
彼の家の玄関を開けた瞬間に、充満している老人のにおいに私の若さまでが吸い取られていきそうだった。私は恐怖さえ感じた。
彼は、昼間のうちに、大学やアルバイト先で充電した若さの雰囲気を、家に帰ると吸い取られているのでは、とさえ思った。生と死がどちらも身近にある彼の独特の雰囲気。
それでも私はその、穏やかで温かな彼の雰囲気にひかれたのだ。
彼の家に恐怖しても、彼との恋愛は始まったばかりだ。彼の家族の事は、付き合っていくうちにこれから聞けばいい。帰ったら、まず一番に彼にメールをしよう。
私はゆううつな胸の内をふるいたたせ、家までの道程を急いだ。
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