真冬のこいびと
真冬のこいびと
浅野花火


15ページ目

 「そう。でもあなたの持っている雰囲気はすごく好きよ。」
 「ありがとう。」
 お礼を言った浩行はにっこり笑ったが、心から笑っているのか作り笑いなのか、私には判断できなかった。そういう笑顔だった。
 この人は、本当に大事な事は心に秘めておくのではないか、と思った。口に出さないからこその大切な思い。だとしたら私とは全くの正反対だ。大事な事は話さないと伝わらない。

 少しの沈黙の間に生まれた、私の考えは彼の声に打ち消された。

 「どうしました?」
 「ううん。何でもないの。」
 私は我にかえってそう答えた。
 「そろそろ出ましょうか?」
 窓の外に目をやると、さっきまで薄明るかった外も紺色の夜の色に染まっていた。雪は止むことを知らずに、変わらぬ早さと量で落ちて来る。
 「そうね、出ましょう。」
 私達はそう言っていすから立ち上がった。
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