繋がりゆく想い……
繋がりゆく想い……
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最期はやっぱり、自分の家がいい……。医者の申し出を丁寧に断り俺はタクシーを呼んでもらい自宅に帰る事にした。
「もうここまででいい……取り敢えず礼は言っておくよ、ありがとな智子。」
タクシーで帰って来た俺はマンションの入口でそう言った。だけど智子は帰ろうとせずに首を振る。
「できないよ……祐樹をこのまま放っとくなんて、あたいにはできない……」
「言ったろ?もう俺に関わるなって……」
俺の言葉に智子は再び、大粒の涙を零した。思わず苦笑しながら、俺は頭を優しく撫でる。
「そうやって素直にしてたら、いい男がすぐに見つかるさ。お前はお前の人生を精一杯生きろ。俺の分まで……。あの時、死ななくてよかっただろ?だから、俺のコトはもう忘れるんだ。いいな?」
「やだ……やだよ……。このままバイバイなんて……祐樹、あたい……」
「もうすぐ死んじまう奴の最期が見たいのか?悪趣味だぜ?」
俺はそう言ってニヤリと笑った。そして、そのまま背を向けるとマンションの中へと歩き出す。
一歩、二歩……
しかし、三歩目は踏み出せなかった。それは後ろから延びた二本の腕が俺の身体を捕まえていたから……
「離せ……」
「やだ……」
「離せって言ってるだろ?」
「やだ!!」
胸の奥に小さく灯る想い……それが、俺の感情を揺らし始める。
想いなんか残さないって決めたんだ……
生への執着なんか断ち切った筈なんだ……
なのに……
「お前……どうして、俺に…関わりたがる…んだ。俺とお前は何の…関係も無い筈…だろ?」
「あんたにとっては、気まぐれだったかもしれない……。簡単に死のうとしてたあたいに腹が立っただけかもしれない……。だけど、あたいが今生きているのは祐樹のお蔭……」
「律義だな。でもそんな事どうでも……」
「よくなんかない!!あたい、嬉しかったんだ。祐樹、口が悪いから、ちゃんと言ってくれなかったけど、生きろって言ってくれた。自分を大切にしろって言ってくれた……」
俺を抱き締める小さな腕に力が込められていく。
「あたい、今まで何人も好きになったよ。優しくしてくれる人ならそれでよかったから……。けど祐樹は違ってた。口悪いし、あたいを怒ってばっかだけど本当は優しくて……。あたい、気付いたんだ。これは好きなんて軽い気持ちじゃない……あたいは……」
「やめろ!!その先は言うな!!」
「ダメだよ祐樹。今言わなかったら、あたいはきっと一生後悔する……。あたい、愛してるんだ祐樹のコト……」
Tシャツを通して背中が濡れている。俺の為に泣いてんのか?智子……
「もうすぐ死ぬ奴に向かって、愛の告白か?ふざけんじゃ……ねえよ……独りでいいんだよ……俺は…」
クソッ……なんで声が震えちまうんだよ……。もう、やめてくれ智子……
俺(心)を揺らすな……
「あたい、決めたんだ。祐樹に貰った命だから、今度は祐樹の為だけに使うって。あたい、最期までいる!だから傍にいさせてよ……祐樹の隣りにいたいんだよ!!」
泣き叫ぶ様な智子の声。コイツの本気が伝わって来る……
モノトーンだった筈の世界が再び色彩を放ち始めていく。前よりも力強く、色鮮やかに……
「お願いだよ祐樹……独りでいいなんて言わないで……そんなの寂しいよ……。あたいが……いるじゃんか……」
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