詩織のアンダースコート(上)
詩織のアンダースコート(上)
きのした詩織


10面もある市営のテニスコートで、私だけだった。

白いポロシャツ、白いプリーツのスコート。昭和そのままのテニスルックでプレイしているのは。
ちなみに、アンダースコートももちろん純白、5段フリル。

女子中学生・高校生の憧れのスポーツ……テニス。
大人になっても、高原でテニスなんて、最高のステータスシンボル。

その人気を支えていた一つの要素が、このテニスウエアだったことは間違いない。

ネット通販なら、今でも手に入るものの、実際に着てプレイする女子はまずいない。

私も拝み倒されて、一回限りの約束でテニスルックになったのだった。

むしろ正式なスタイルなのだから、市営コートは利用を断ることはできない。
今日、たまたま居合わせた利用者にサプライズの眼福となるだけだ。
◆
さっきから、一般の利用者から何枚も撮影されている。女性だって堂々と大胆に撮っていく。

慣れるかと思ったけど、いつまでも恥ずかしい。

彼の格好も、白いポロシャツ、白い短パン。手抜きがない。
このコートだけ昭和なのだ。

……あれ、下に何穿いてるの?
……たしかアンスコっていうのよ。

いま来たばかりの女性グループから、露骨な会話が聞こえた。さすが女子。遠慮がない。

「そっちのサービスだよ」
彼が声をかける。


ボールをバウンドさせてから、
オーバーサービス。

最大限にスコートがめくれ、アンダースコートが全開になる。
その瞬間、後ろの女性グループから「きゃっ」という声が聞こえた。

フォルト。

──ま、テニスは久しぶりだもんね。

私はスコートに手を入れ、アンダースコートのポケットからボールを取り出す。

まだ後ろにいた女性グループから、小さなどよめきが聞こえた。

女性が女性のお尻を見て面白いのかな?
それとも、自分からスコートをめくってパンチラサービスするのが大胆だから?

スコアは気にしないでいいから、セカンドサービスもオーバーで。

あ、いつの間にかスコートがめくれても気にならなくなってきた。

気になるのは、部屋に戻ってから、彼からされること……。
いいリターンが来た。
スコートを翻してダッシュした。

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