娘
娘
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薄暗く、大きなベッド、広い部屋。シーツのこすれる淫らな音。
いつもと同じ、甘い時を過ごした後で、となりでタバコを吸いながら天井を見つめる男を見ながら、中澤ヨウコは思う。
(この人は、私の世界を変えてくれた……。私は、この人のいったい何を変える事ができるのだろう……)
(そして、私達はどこまでいけるのだろう……)
(考えても仕方のない事だ……、私の世界と、この人の世界は速度が違う……。孤独な人……)
(いとしい人……)
快楽の果ての様々な思いを振り払いながら、中澤は話かける。
「ねえ……最近、娘。達、何かおかしいと思いませんか?」
こちらを見つめ返す男。その目は、さっきまでの優しいそれとは異なり、真剣な目をしている。
(この人の人生を賭けた、娘。達、守りたい……)
男が話す。
「何か?そうか……?でも、リーダーのおまえが言うなら、そうなのかもな……」
タバコを消す男。部屋に紫煙が漂い、香りを残す。中澤は、考えをまとめる。
「はっきりとは、わからないです。ただの思い過ごしなのかも?でも、何か……」
新たにタバコに火をつける男。
「そうか……、一週間も休みあげたのは、失敗かもしれんな……」
ぽつり、とつぶやく男。
「私、休みの間、連絡とってみます」
明日からの休み……。一週間のそれは、偶然が重なったとはいえ、やはり奇跡に近い時間だった。
「いや、プロに……掃除屋に頼むよ。中澤も、たまには休め……」
男は言いながら、携帯を取り出す。
(広いベッド。二人の閉じられた部屋、箱……、いつまで続くの……?私達……、ずっと一緒にいられるの……?)
となりで電話を終えた男を思いながら、中澤は眠りに落ちる。
「あのな掃除屋な、あさってから始めるそうや。明日はどしても無理やって、ええかな?って、あれ、寝たんかい?中澤?」
男は、眠りについた女に、毛布を掛けキスをする。
(明日からN.Y入りや……。中澤、頼むわ……)
お互いの思いを閉じ、箱の中の時は流れる……。
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