娘
娘
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反撃の始まり
中澤は、突然鳴り出した携帯を、
レザーのバックから取り出した。
「もしもし、中澤さん?」
聞いた事のない声。
「そうですけど?」
不安を感じながら応対する。
「依頼を受けた、掃除人です。
予定よりも早く前の仕事が片付いたので、電話しました」
低い声。しかし、安心感の持てる声。
男は続ける。
「早速動きます、よければ詳しい話が聞きたいので、××ホテルまで」
駐車場に戻り、車を動かす。
(守る……、絶対に……)
中澤は待ち合わせの場所へ向かい、
アルファロメオを駆る。
カーラジオから流れる曲も、
耳に入らない。漠然とした不安。
リーダーとしての責任感。愛する男の事。
(マキ……、どこへ?) 前を見つめ疾走する。
その時、対向車線ですれ違う、
安部なつきの青いプジョー。
しかし……、中澤は気づかなかった。
ラジオから流れるビートルズの声……。
それぞれの時間が、物語が、交わり、離れ、加速する。
連休初日、正午……。晩秋……
渋滞に巻き込まれ、
中澤がホテルに到着したのは約束の時間から、
三十分ほど遅れた、午後一時半だった。
指定された喫茶店へ行く。
店内に入ると、奥の隅に座っていた男が、
軽く手をあげた。向かう中澤。
テーブルの上に、
ノートパソコンを置き、
こちらを眺めている男。
(若い……) 二十代半ばに見える。
彫りの深い顔。細い体プロの掃除屋とは、
一見信じられない。中澤が席に着くと、
男が口を開いた。
「レエル=斎藤です」
挨拶をすませ、マキの事を話す中澤。
男は全て聞き終わると話出す。
「昨夜、そちらから、娘。達の携帯番号を教えてもらいました。
それを元に着発信記録を覗きました」
冷静に話続ける男。
「その記録と、先ほどの中澤さんのお話で、
大体の仕組みがわかりました」
立ち上がる男。
「すみませんが、コーヒーを飲む時間は無いようです。
すぐに移動します。
安部さん、七井さんが危険です。
詳しい話は車の中で、急ぎましょう」
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