あもトイレ・愛の名作劇場 ?mari qui estime sa femme?
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あも


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「終わってからでもいいじゃない!写真だもの、逃げたりしないわ」
こういう場合、もっと余裕たっぷりに艶めかしく言ったほうがいいのだろう。愛人の務めとしては。しかし、ついつい口調が強くなり、悔しいことに目縁に涙が滲んできてしまった。

「お願い…今だけは、私のものでいてよ…」
徐々に萎れ始める彼の砲身を握り、頬をすり寄せる。ぶら下がる睾丸を手で掬い、下を向く亀頭を口に含む。彼の身体は固まっていた。本当はすぐにでも私のポケットに囚われた奥さんを救いに行きたいのだろうに、私への同情心が、それを邪魔している。


本当に不器用な男。私みたいな愛人まがいの女に優しくすることなんてないのに。


彼が既婚者だということは、彼に初めて出会ったときから知っていた。ホステス以上風俗未満な店で未成年の時から働いていた私は、ある夜、ガラの悪い数人の男に捕まり、路地裏でレイプされそうになった。そして必死で助けを呼ぶ私の前に、彼は現われたのだ。

山岳や岩を連想させるような巨大で逞しい肢体。月明かりを背に受けて伸びる彼の影はまさに‘魔獣’だった。眼光鋭く私に群がる男達を見据えた瞬間、豹が獲物に飛び掛かる素早さであっという間に男どもは薙ぎ倒されていった。

「…ぁ…」
身震いがした。この大男は何者なのだろう。彼が助けてくれたのはわかったが、あまりに迫力に満ちた豪儀なその男が恐ろしくて堪らなかったのだ。強姦寸前だったことでの、‘男’への恐怖心も相まって、私はろくに礼さえ言えず、ただただ怯懦した目でこの化け物のように大きな男を見上げることしかできなかった。

そんな私に、彼は何も言わず上着を貸してくれて、何も言わずに去っていった。気障な振る舞いだが、彼は恩着せがましく名前を告げることも、身元がバレるようなものも残さず(わざわざ財布を抜き取って上着をくれたのだ)去っていったので、格好付けでした行為ではないのは明白だ。ただ、ポケットの中に入ったままだった、グチャグチャに丸められた紙を抜き取るのは忘れてしまっていたみたいだけれど。

【○△病院・302号室】中に入っていた紙には薄くそう書かれていた。どこもかしこも擦り切れてボロボロだ。

「○△病院…」
小さく呟いた。ここに行けば彼に会えるのだろうか。あの、恐ろしくも優しい男に。
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