当直室で
当直室で
舞


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私は19歳、看護学生です。
そう大きくはない病院で働きながら、学校へ通っています。
私の病院には、何人かバイトの医師がいます。
ほとんどの医師は、本来自分が所属している病院の他でバイトをしています。
週に1回だけだったり、夜勤だけだったり、形はいろいろだけど。

とうとう、病院実習が始まりました。
最初の実習先は国立S病院の整形外科病棟。
やっぱり本物の患者さん相手だと教科書通りにいかないし、看護婦も厳しい。
失敗はしていないけれど、要領が分からない。
毎日ドキドキしながら病院に行くと、3日目にどこかで見たことある人が…。
あれは…山下先生!
声をかけようか迷っていると、「あれ?松ちゃん!こんなとこで、何してるの?あ?、実習かぁ。担当の看護婦は?」
緊張の中で知ってる人を見つけ、私はホッとしました。
「おはようございます!よかったぁ、知ってる人がいて。私緊張してたんですよぉ。あ、担当の看護婦さんは、三井主任です」
「あいつかぁ…厳しいだろ?まぁがんばりな。あとで病棟行くから、その時一緒に患者さん見においで。じゃ!」

山下先生は35歳くらいで、特に男前ってワケじゃないけど、優しいしおもしろくて患者さんにも看護婦にも人気のある先生です。
私の勤めている病院で、週に1回だけ夜診と当直のバイトに来ています。

何人かの患者さんの検温をして、報告をしました。

「三井主任、検温終わりました」
こちらを振り向くこともせず、「あっそう。で?」
「加藤さん、体温36.4℃、脈拍64、結滞・不正ありません。呼吸15です。今日の午後、洗髪を希望されてます。鈴木さん…」
一通りの報告が終わると、「それだけ?」といわれました。
「え?…あ、はい…」
そう言うと、主任はすごい形相で「もっと観察することがあるでしょう!!顔色とか皮膚状態とか!!他にももっと…」
いつまで続くのかと思うくらい、ずっと怒鳴っています。
"自分はいつもそこまで観察してないじゃない!"
思ってはいるけど、言い返すことなんかできません。
あまりに悔しくて、"泣いちゃダメ!!"って思ってるのに、涙が溢れてきました。
「はぁ…もういいわ。そんな顔で患者さんの所へ行ったら、患者さんが迷惑するわ。306号室が空いてるから、あそこで落ちついてきなさい。はぁ」
最後にため息をつかれて、また悔しくて…。
"私、そんなに出来悪くないわよ!"
また涙が溢れてきて、ナースステーションを飛び出しました。
ドンッ!
「おっと」
誰かにぶつかって顔をあげると山下先生でした。
泣き顔を見られたくなくて、「ごめんなさいっ」とだけ言って走りました。
背後から「病院内では走らないっ!!」と主任の怒鳴り声が聞こえました。

「どうしたの、あの子?三井さん、未来の看護婦を泣かしちゃダメだよ?」
「先生は看護婦の指導に口を挟まないでください!」
「お?コワ」
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