穂乃香の長い土曜日・後編。
穂乃香の長い土曜日・後編。
あも


6ページ目

頭の中で友人達の甲高い笑い声が響き渡る。その度に途方も無いぐらい大きなイライラとモヤモヤが生まれ、穂乃香の痛いげな心に蓄積されていった。


「もー、優、新城先生だいすきぃっ」



―離れてよ。



「わあっ先生の腕の筋肉すごぉい!触ってもいいですかぁ?」



―は?触らないで。



「新城先生の手、おっきくてあったかいですねっ」



―あぁ、ウザい。何やってんのよ。



「ホントにあたし先生に憧れてるんです!かっこいいんだもん」



―黙ってよ。消えてよ。

やめて…やめてやめてやめてやめて……っ!



先生は、私の…っ


私の……



「新城先生、また遊びに来ていいですか?今度は勉強抜きで!」






「あぁいいよ。いつでもおいで」






     ―プチッ…



「…あれ穂乃。どうしたの?」


穂乃香は無意識のうちに立ち上がって皆を見下ろしていた。さっきまで足に力なんて入らなかったのに、嘘のようだ。


何かが切れた。それだけはわかった。


苦痛極まりないこの場所から逃げだしたいという気持ちが、ついに身体で現われたのだ。穂乃香は自嘲気味に笑う。
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