愛欲の序章
愛欲の序章
夜城零


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その日は仲の良いグループで集まって、
夏休みの宿題を片付けてしまおうという約束だった。
ちょうど両親も兄貴もいないので、ボクの家に集まってやることにした。

「みんな遅いねぇ」
カーテンを揺らして窓から入ってくる風が、
亜美の髪をやさしく震わせているのを見ていたボクは、少し返事が遅れてしまった。

「あ……う、うん。そうだね。どうしたんだろ」
本当は、みんな来なければいいとボクは思っていた。
だって亜美と二人だけで居られるなんて、こんなチャンスめったにない。
はっきり言ってしまおう。ボクは亜美が好きだ。大好きなんだ。

その小柄なところも眼鏡の奥の大きい瞳も、
セミロングを後ろで二つにまとめている髪も、
白い肌にちょっとだけ浮かんでいるそばかすも、全部好きだ。
一番好きなのは、やさしい性格だけど……。

ボクは亜美に告白する勇気がなくて、
それでもそばにいたくて、亜美のいるグループにいる。

亜美はボクが亜美のことを好きだということを知っているのだろうか?
嫌われてはいないと思ってるけど……自信がない。

ボクらは今、ボクの部屋に居る。
ベッドとガラスのテーブルと本棚があって、4人もはいったらちょっと狭いくらい。
でも「リビングだとテレビがあるから集中できないね」
という亜美の言葉でここを使うことにしたんだ。

でも、失敗だったかもしれない。
だって、ボクは毎日、ここで亜美のことを思って……。

兄貴は「健康な若い男なんだから、オナニーするのは当たり前だ」という。
でも、オナニーするときに思い浮かべる女の子が目の前にいるという状況は、かなりヤバイ。
もう緊張して心臓がバクバク音を立てている。

薄い水色のサマードレスに白いソックスという亜美の服装は、
制服しか知らないボクにとって、かなり刺激的なんだ。
特に白い、うなじとか……。
ボクが勉強に集中できないのだって、当然だと思う。

そんな時、電話が鳴った。
ボクは兄貴の部屋に入って子機を取った。
それは今日来る予定だったもうひとりの女の子からだった。
一緒に来るはずだったケンジとデートするんで、今日はこれないという。

あいつらが付き合っているのは知ってたけど、一緒に来たっていいじゃないか。
ボクがそういうと、「バカねぇ。チャンスを作ってあげたんじゃない。がんばってよ」
という声とともに電話が切られた。
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