ちいさな悪魔の小さな絵
ちいさな悪魔の小さな絵
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「映画?」
姉弟は声を揃えた。
そう、と母は頷く。
事の発端はこうだ。
私達には家族間のコミニュケーションが足りない。
握り拳をぷるぷると震わせて熱演する母の姿に、また始まったと幾度目かの溜息。
大方平日の昼下がり、怪しげな三流DJの影響でも受けたのだろう。
先週からやけに母の口から家庭崩壊ネタが頻発していたのを思い出す。
つまりは特集ネタでマザー本能に火が着いたのだろう。
使命感に燃える瞳は既にあたしらではなく遙か彼方、頷き抱き合い涙を流す汗臭い家族の蜃気楼に心奪われているのだろう。
はた迷惑もいい所だ。
あたしのスケジュール帳はは色気のない雑務で覆われている。
団欒の前に商談。
「行くわよね?」
ミスターイエスマンである父が母に逆らうことはない。
主婦関白ここに極まれり。
「ね?」
限りなく濁音に近い発音が有無を言わせぬその迫力。
普段が温厚なだけに手がつけられない。
マザコンならぬファミコン(ファミリーコンプレックス)少年弟の辞書に抵抗の文字はない。
いやあるかもしれないが、それは往く数年の年月を経て風化し、さしずめ象形文字が如く劣化した過去の遺物でしかない。
案の定首を縦に振るパペットマペット。
結局三対二、結局いつもの構図。
民主主義の前に破れさるのだ。
採点