不細工な二人
不細工な二人
折原浩平


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俺が振り返ることのできる昔はあまりに少ない。
記憶の断片から覗く日常は果てしない憎悪に染められている。
カラダの痣はその証。
音を失った片耳は確かな過去。

朱にまみれ動かなくなった俺を見つめる瞳は例えようもなく悲壮なものだった。
だからこそ甘んじたこの痛み、絶望。
その愛すべき母はもういない。
遺されたものは耐え難い喪失と父への愛憎。
…そしていつからか芽生えた小さなな恋。

もう失うのは嫌だから。
もう憎むのは嫌だから。
このちっぽけで無責任な恋に全てを託そう。
何もかもを吹き飛ばして笑えるくらい。
痛みや苦しみを通り越して笑い合えるくらい。

俺は彼女に恋しようじゃないか!!

喉に当てたナイフを放り投げ。
塩水でくしゃくしゃの顔を無理矢理ひきつらせ。
不細工な鏡の前で笑わせてやった。
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