不細工な二人
不細工な二人
折原浩平


19ページ目

叩き下ろす。
手加減の必要性は微塵も感じなかった。
ここにいるのは真性の悪魔だ。
五感が告げるのだ。
お前は此の場で死ぬのだと。
決定されている寿命はこの地で尽きるのだと。

男は半身を右へずらしパイプの軌跡から自身を逸らす。
空を切る鉄塊。
瞬間、握られた俺の肘をとり、へし折る。
激痛に苛まれ悶える表情に裏拳。
前のめりになったところに踵を落とす。
受け身をとる間もなく地面へとダイブ。
瞬きする間もないワンシーン。
いつの間にか取り上げられた鉄塊が背中から一突き。
薄汚い血反吐を吐き出すと肋骨が折れている事に気づきゴポゴポと声無き絶叫を上げた。

男はケタケタと赤子の様。
無邪気に笑いながら左肘、肩、尻、膝、足首。
次々その役割を失っていくカルシウム。
休むことなく働き続く痛覚の生真面目さが余りに疎ましい。
泣きながら許しを乞うことしかできない己の浅はかさが憎い。
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