嬉し涙の跡
嬉し涙の跡
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日曜日の昼下がり、私はいつもの喫茶店のいつものテラス席で、いつもの小説を読んでいる。
周りから聞こえてくる、カップルの楽しそうな話声。
一人で座っている私には少し羨ましい。
約束の時間まであと十分。
私の話相手はまだ現れない。
ほろ苦いカフェオレを一口飲み、向かいの席を見る。
誰もいない席にカフェオレがもう一杯、私と一緒に彼を待っている。
私は手にしたカフェオレをソーサーに置いた。
テーブルに置かれた二杯のカフェオレから、仲良く湯気が立ち上ぼる。
私は湯気の向こうに、もうすぐやって来る彼の姿を思い浮かべた。
今頃あの辺りを歩いてるのだろうか。
待ち時間というものは、何故こんなにも長く感じるのだろう。
私は小説に再び目を落とす。
何度も何度も読み返したこの小説。
もうボロボロだけど、大切な私の宝物。
あのときもこうして、この小説を読んでいた。
私はそっと目を閉じ、あのときを思い出す。
テラスをふわりとしたそよ風が通り抜けた。
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