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カオス・ストーリー2
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メモリーズ?想い出の雫?
第1話
序 章 静寂の朝
ガンガン! ガンガン!
……んだよ……うるせぇなぁ……。
ガンガン! ガンガンガン!
?「こらっ! 悟史っ!!いつまで寝てるつもりなのよ!」
しぶしぶ目を開けると、窓の外に、紅潮させた頬を膨らませた少女が彼を睨んでいた。
どうやら、手に持ったクマのぬいぐるみで部屋の窓ガラスを叩いていたらしい。
悟史「……まったく、もうちょっとマシな起こし方はないのかよ……そのうち、絶対ガラス割れるぞ……ご近所の迷惑も考えろってんだ」
ぶつぶつとつぶやきながらも、ゆっくりと体を起こした……
俺は少女が睨みをきかせている窓へと向かった
俺の部屋は2階の角部屋なので、住宅が密集しているこの地域では、隣家の2階の部屋とは数十センチしか離れていない。
そして、その地理的環境を最大限に活用し、毎朝俺のもとを襲撃するのが幼なじみである彼女……
大島優子の日課となっていたのだ。
悟史「大胆だなぁ、まだ7時半じゃねぇか。こんなに早く起きてどうするってんだよ」
低血圧な俺は、不機嫌にこぼした。
しかし、窓の向こうの優子はすでに制服に着替え、満足そうに微笑んでいる。
だのは、ほのかに柑橘系の香りをはらんだ優しい風。
そして、俺は今日もひとり窓辺にたたずんでいた。
……。
持ち主を見失った白い傘だけが、雨に濡れた道路にポツンと取り残されていた。
真っ白な、大きな傘を、彼女は本当に大切にしていたの。
あの日、俺は学校に残されて教師の作業の手伝いを命じられていた。
プリントをたばねて、ホッチキスで綴じる。
そんな単純作業だった。
もっとも、授業をサボってゲームセンターにいるところを見つかった俺に、拒否権などなかったのだが。
そして、突然の雨
しばらくやみそうもない雨足に、俺は優子を電話で呼び出すことにした。
優子「うん、わかった。今から迎えに行くから、ちょっとまっててね」
家から学校までは、約10分。
校門脇の電話ボックスから、そばの紫陽花にへばりついているカタツムリでも眺めていれば、すぐに彼女は現れるはずだった。
……20分。
……30分。
……そして1時間。
カタツムリも姿を消し、雨の音だけが孤独な電話ボックスを包んでいた。
普段の彼女ならば、決して約束の時間を破るようなことはしない。
むしろ、待ち合わせには 30分前には来ていて、勝手に待ち合わせ時間を延ばしておいて文句を言うようなタイプなのだ。
何かおかしい……
漠然とした不安が胸をよぎり、俺は雨の中へと駆け出していった。
時間と共に強まっていく雨は容赦なく俺をうちつけるが、気にしている余裕はない。
いくつ目かの曲がり角を越え、いつもの公園のそばを通り抜ける。
……そこで、
俺が目にしたものは……
彼女の……。
そして俺の手が彼女に届く機会は、永遠に失われた。
俺には、冷たい雨の記憶だけが残された……。
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