できちゃった。

あも

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カオス・ストーリー23
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薄いガラス格子から差し込む春の木漏れ日。わたしは大きな欠伸を掻きながら、うっとりするような柔らかい光の中微睡んでいた。この家に来てもう2年。わたしは日々のほとんどをこの日当たりの良い居間で過ごしている。ここにいれば必ず家族の誰かがやってくるし、身体をすり寄せ甘えた声で鳴けば、皆わたしの喉を優しく撫でてくれる。お父さんなんか頬摺りまでしてくるの。お酒の匂いがして少し苦手だけど。でもわたしはこの家が大好き。匂いが染みた畳の藺草も、ちょっとくたびれた座布団も、お姉ちゃんが買ってきてくれたわたし専用の赤いお茶碗も、全てがお気に入り。

でもちょっと不満があるの。聞いてくれる?この家族は、わたしを一歩も外に出したがらないの。お母さんが『迷子になったら大変』とか『近所が飼ってる小鳥に悪さする』と何だかんだ言い訳を付けて、景色さえ見せようとしてくれない。わたしが外に出ようとしようものなら血相を変えて捕まえにくるし。たまに夜、お姉ちゃんがこっそり連れ出してくれるけど、やっぱり、お天道様のあったかい光の中を一人で散歩してみたいじゃない?きっと家の中でより、外でお昼寝したほうが素敵な夢が見れるはず。というわけで最近わたしがよく見る夢は『外で寝てる夢。』皮肉よね。


ごろごろと一人居間で暇を潰す。お昼間って、どうして誰もいなくなるのよ?毛糸をつついて遊ぶのも鼠のおもちゃを噛むのももう飽きちゃった。あーあ、誰かに会いたい。会って思い切り遊びたいなぁ…。

そう思って、お姉ちゃんの部屋へ行った。お姉ちゃんの部屋はフカフカのクッションがいっぱい置いてあるし、何よりもお姉ちゃんの匂いがする。わたしはそこに包まって、せめてお姉ちゃんと遊ぶ夢を見たかった。

だけど、部屋に入った瞬間、眠気なんか吹っ飛んじゃった。なんという幸運、お姉ちゃんの部屋の窓が飽きっぱなしだったの。憧れの外への扉。なだらかな瓦屋根はキラキラと太陽に反射して、その遥か向うには夢にまで見た外の風景が広がっている…。わたしはドキドキ高鳴る好奇心を押さえ切れず、窓の縁に飛び乗った。一瞬爽やかな風が身体を優しく吹き抜けて、まるで撫でられているみたい。その風に誘われるがまま、わたしはぴょんと跳ね、むわっと熱い瓦に足を付けた。あぁ、憧れの外の世界だ!わたしは興奮していた。なんて家の中はちっぽけな空間だったんだろう。

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