ロストメモリー

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何だ？

騒がしいな。

俺は瞼をゆっくりと開く。

光が全て俺の瞳一点に集中したかのような錯覚に陥るが、すぐにおさまる。

頭が痛い。

ジンジンする。

俺は頭を右手で軽く抑えながら、仰向けになっている自身の上体を起こして周りを見渡してみた。

ここは…病院なのか？

俺は一体、誰なんだ？

わからない。

…何も思い出せない。

思い出そうとすると頭が痛くなる。

もしかして、記憶喪失なのか？

などと考えていると、全身黒ずくめの女が病室？に入ってきた。

女は俺に一礼して『気分は如何ですか？』と俺の体調を聞いてくる。

俺の事を知っているのか？

『大丈夫です。ただ…自分が…誰なのか、ここが何処なのか…思い出せないのですが…』と返事してみた。

女は半歩後退りしたあと、すぐに体勢を立て直し、俺をしばらく凝視して『記憶が…ないのですか？』と聞いてきた。

俺が首を縦に振ると女は『貴方の名前はダニース・メイキン』

ダニース・メイキン…それが俺の名前。

女は少し間をあけて『この世界の王です…貴方は人類で初めて世界を統一した人間です。』と俺についての事を説明してくれた…

って俺が世界の王？

何かの冗談か？

少し整理させてくれと言いたいが、女は構わず話を続けた。

『ここは医務室で、貴方は不慮の事故に遭って暫く眠っていたのですが…』

女は俯きになり眉間にしわを寄せて、小声で『記憶喪失…という事は少し面倒な事になりそうですね…』と呟いた。

『面倒な…事？』と聞いてみた。

女はこちらに向き直り『貴方の頭にはメモリーが埋め込まれているのです』と更に訳の解らない事を言ってきた。

『で、そのメモリーがどうしたんですか？』

『貴方が世界の秩序を乱すような事をするとメモリーが秩序ロボに転送され貴方を殺しにくるのです。』

ハッハッハッ

何を言ってるんだ？

この女。

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