命の樹
天翔
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俺は幼い頃から人と話すのが苦手だった。
人見知りのせいもあったが、それよりも人と話そうとすると言いようのない緊張感が全身を包みような感覚に襲われ、なかなか話しかけることが出来なかった…
それでも、楽しそうに友達同士で話すクラスメイト達を見る度、羨ましく思った。
自分もあの中に入りたい、楽しく話をしたい。
……友達になりたい……
そんな想いは次第に大きくなっていった。
話をするキッカケが作れない俺は何か目立つ事をして、それをキッカケにしようと思いつき、友達を作りたい、その一心で色々な習い事を始めた。
塾、水泳、ピアノ、野球、剣道、習字…
でも、どれ一つとしてまともに身につくものはなかった。
それもそのはず。習い事をするにしても人と話をしなければならず、場の雰囲気に馴染めなかった。
気が付けば、俺はいつも独りだった…
それから数年後、俺は今、親の勧めもあり東北にある大学に通いながら一人暮らしをしている。
独りでいる事に慣れてしまった俺はいつしか人との関わりを持たなくなっていた。
常に無関心で他人との関わりを拒絶している俺に近づいて来ようとする物好きな奴は一人もいなかった…
それもそうだ。運動も勉強も人並み以下、話かけても常に無反応で無愛想、特に自慢出来る事もない、そんな奴に話かけるなんて、余程の事がない限り避けたいと思うのが道理だろう。
そんな俺でも、興味を持ったものがある。
それは俺が中学生の時に何気なく立ち寄った本屋で立ち読みした一冊の小説、俺は衝撃を受けた…
次から次へと頭の中で繰り広げられる物語、今まで感じる事のなかった感覚にあっという間に俺は物語の世界に魅入られた。
その日から物語の世界に事が唯一の楽しみだった。
でも、のめり込めばのめり込む程、物語の世界という名の殻の中に潜り込んでいった…
満たされた気分だった。
物語を読んでいる時だけ、自分の存在を確認出来た。
でも、どこか心に小さな隙間がある気がした…
俺は人付合いを必要としなくなった…
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