罪と罰

小鳩

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カオス・ストーリー23
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――窓を開けると、涼しい風が入り込む。

朝の程良い光と川の流れる音が心地よかった。

紗都は窓の縁に腰掛け、はだけた浴衣を直しながら穏やかな気持ちで海を一望する。


昨晩は狂ったように求め合い、そして夜が明けた。

それでも飽くことなく、早朝から再び肌を重ね、互いの愛を確かめ合った。









(……帰ったら、まず陽介に電話をしなくちゃ──。)


紗都はぼんやりと考えていた。

亨にセックスをしないという約束をさせてから1年間、紗都は陽介と繰り返し会うようになっていた。

もちろん、体の関係も――。


亨の事は今でも愛しているのだ、確かに。
陽介に特別な感情がある訳ではない。


それでも――紗都の中には強い思いがあった。


犯した罪はどれだけ償っても決して消えはしない。

許されても、消えはしないのだ──。


だから、紗都は決意した。

亨に罰を与え続けていくと――。

その為に、自ら罪を犯し続けていく…──。







「紗都、海まで歩いてみる?」

濡れた髪をタオルで拭いながら、亨が洗面所から顔を覗かせた。



紗都は潮風になびく髪をかきあげながら、にっこりと微笑んだ。


【おわり】




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