ちいさな悪魔の小さな絵
折原浩平
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肌寒いこの季節。
筆を持つ手が震える。
駄目だ、と一旦筆を置き地下を出る。
幼少の頃始めて取った佳作に歓喜した馬鹿親子は、僕の為に地下の物置を小さなアトリエに改装した。
その後も佳作佳作と万年佳作止まりの凡才な僕に愛想を尽かすこともなく、毎日のように如何に僕の絵が素晴らしいかを作者である僕自身に言い聞かせる。
非凡な姉は言う。
周囲も、僕すらも呆れるほどの盲目ぶりだと。
そんな摩訶不可思議な家族が僕は大好きだ。
早朝2時ー道理で寒い訳だ。
気付くと歯がカチカチと音を立てながら不満を訴えている。
電気ストーブの火は既に消えている。
明日も学校があるのだ。
早く温かい布団に入ろう。
絵の具塗れの身体だし、シャワーはマナーのうちかとも思ったが億劫なので止めた。
結局着替える事すらなくベッドイン。
寒さからかキィンと耳鳴り。
毛布の冷たさも気にならず、そのまま泥のように眠りについた。
意識が途切れる瞬間、夢と現(ウツツ)の狭間で明日も変わらぬ毎日である事を願って。
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