不細工な二人

折原浩平

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カオス・ストーリー23
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 やけに眩しい目覚めだった。
ここ暫くはいつもそう。
だがそんな鬱陶しさが何より心地良い。
基本的に帰りの遅い私は一日の始まりも遅い。
そんな私の世話役はいつも母だった。

 最もそれが悪いなどとは露ほどにも思ってはいない。
だが私も一人の女故、愛しの人との同棲生活とは何にも勝る甘美なものなのである。
今が絶頂期な恋人達には分かって頂けるだろう?

 まして同棲を始めてからまだ3ヶ月ともすればともするものだ。
彼の匂いが残るベッドを断腸の思いで抜け出す。

 眠い目を擦り洗面所へ向かう。
鏡を眺めて相変わらず酷い顔だなと嘆息一つ。
男の人は、というか彼はあまり身なりに関心がない。
当時私には信じられない様な格好でデートに現れたものだがそれも良い思い出だ。
そんな彼も、今では花柄エプロンのよく似合う主夫として我家を支えている。

「おぅ、珍しく早いな」
その声に合わせて丁度、テレビから六時のモーニングコール。
「んぅ…おはょ」
欠伸を無理矢理かみ殺した結果、随分と歪な挨拶が口から漏れた。

 ベーコンエッグの香りに包まれて一日がはじまる。
陰鬱な気分を振り払い、今日も私は幸せな朝を満喫してやるのだ。


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