憑いてくる
はつこ
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次の日の電車内でも、彼女はまた更に私に近い座席に座っていた。
考えたら三日も連続で同じ電車の同じ車両に乗り込むなんて、この時点で不思議に思うべきなのだけれど、私は他に気にかかることがあった。
昨日、確かに彼女は窓際の席に座っていたはずなのに、どうして見つけることができなかったんだろう?
もしかすると私が電車を降りた時に彼女も下車したんだろうか?
でも、彼女は通学するために電車に乗っているはずなんだから昨日と違う駅で降りることなどあるのだろうか?第一、私は電車から降りる寸前まで彼女を目で追っていた。目を離したのはホームに出て振り向くまでのほんの一瞬だったはず。
どうして・・・?
プシューッ と音をたてて、電車が途中の駅で止まった。ドアがひらくと同時に人がドヤドヤと乗り込んでくるおかげで、私は考えるのを止めざるを得なくなった。
開ききったドアから、まだ春になりきらない冷たい朝の風が容赦なく吹き込んでくる。私は少しでも寒さをしのごうと首をすくめ、前のボタンを開けたコートを手できつく閉じた。
その時私は、ある事に気付いてしまった。
少しも寒そうな様子のない彼女は、この三日間ずっと夏服を着ている・・・。
驚きのあまり目を見開いてもう一度彼女をよく見ると、カバンも持っていない。
私は言い様のない感覚に頭が真っ白になり、彼女から思いきり目を逸らしてしまい、二度と彼女の顔を見ないままで下車する駅に到着してしまった。
ドアがひらくと、私は飛ぶように急いでホームに出た。
絶対に電車を振り向かないように。
駅を出ると、乱れきった呼吸が少し安定し、私は走るのをやめてゆっくり歩き始める。
色々な考えがぐるぐると頭を廻り、混乱してなんの結論も出すことができない。けれど、たったひとつはっきりした疑問。
(彼女は何者なんだろう。)
ずっと気にかかっていた、彼女のどこか普通でない、周りから切り離された雰囲気も手伝って、この疑問は時間が経つ程に益々おおきくなっていく。
そしてひとつ、信じたくない考えが頭をよぎった。
(まさか、幽・・・)
「おはよう秋華(あきか)!」
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