DOLL BLUES
エッチな官能小説集

ある朝目覚めたら、あたしの手足は動かなくなっていた。
頭に広がるクエスチョンマークに終止符を打とうと、なんとか手足を動かすべく努力をしてみたけれど、
脳から手足に向かって下された「動作」の指令は、空回りするだけだった。
あたしどうなってしまったの?泣きそうなのに、嗚咽することもできない。
まさか、発声にも支障が?あたしは、急いで「あー」と発生しようとした。
が、発声も、動作同様、あたしにとっては不可能なことになってしまっていた。
ショックなのに、悲しいのに、涙も出てこない。
いったい、あたし、なんの病気にかかってしまったのかしら?
頚椎が損傷すると、首から下がまったく動かなくなるというけれど、あたしはまばたきすることさえ不可能。
そう、目覚めてから、一度もまばたきしていない。
おまけに口は開きっぱなしのような感じがする……。
「おはよう、ハニー」
ハニー? このオッサン、いったい誰?なんであたしがあんたのハニーなわけ?
だってあたしは、泣く子も黙るアイドル、「海崎なぎさ」よ。
今日から、アメリカでニューアルバムのレコーディングが始まるから、昨日、現地入りしたばかりなのに!
「ハニー、こっちへおいで」
ざけんじゃねーよ、気持ち悪い!
でもあたし、なぜ昨夜チェックインしたホテルではなく、この人の家にいるの?
あたしの果てしなく広がる疑問をよそに、オッサンは、バサッとあたしに覆いかぶさってきた。
イヤ、誰か! ああ、どうして声が出ないのっ!
イヤイヤイヤ、チューなんかよして!
イヤァ、おっぱい揉まないでぇ。
あ──でもこの人、上手?
こんな人に触られて感じるなんて、あたし、どうかしてるわ。
ああ、だけど感じちゃう、彼氏より全然上手だわ──。
「ハニー、君はなんてよくできたダッチワイフなんだ。私が愛撫しだした途端、顔色が紅潮したよ。まるで生身の女のようだよ、素晴らしい!」
少しぽうっとしたけれど、オッサンの言葉に、我に返らずにはいられなかった。
ダッチワイフ? ダッチワイフですって?
このトップアイドルの海崎なぎさが?ああ、気が遠くなる──。
「さあ、おしゃぶり」
ダッチワイフであるあたしは、当然、拒絶不可能なまま、オッサンの黒々とした太いモノをくわえた。
先がやたら太いわ、きっとこの人、下半身でモテたんだろうなぁ。
外見は冴えないけど、デブでハゲってわけでもないし、人のよさそうな感じだもの。
でも、ダッチワイフを買うぐらいだから、今は不自由してるのね。
あたし、条件反射で、頬の肉をすぼめちゃった。
そしたらオッサン、悶えて、あたしの口に出しちゃった。
口内発射なんて、歴代の彼の中の、誰一人として許さなかったのに──。
「ハニー、君、凄いよ、驚いた! 君の口をすぼめる機能は、セットする前だった筈なんだがね? びっくりしてイっちゃったよ」
あっそう、朝からお疲れ様。
「では、私はそろそろ会社へ行くよ。いい子でお留守番してるんだよ、ハニー」
は?っ、一発抜いてから仕事ですか! あたしの彼氏より元気かも。あん、あたしを抱えて、どこへ連れてく気?
「ここへお座り。ベルギーの作家の椅子だよ。私はね、これでぶらぶら揺れながら、酒片手にぼんやりしてリラックスしてるんだよ。私がいない間は、ここに座っていなさい」
この椅子! あたしの彼の家にあったのと同じ!釣鐘状で、椅子の部分は二分割された鳥かご、という感じなの。
かわいいのよ。オッサン、なかなかイイ趣味じゃないよ。
あたしは、椅子に座らされた。
!衝撃だった。椅子の真向かいには大きな鏡が張られていて、あたしは、自分の姿をまともに見てしまった。
ダッチワイフとなった自分の姿を──。
あのオッサンが「ハニー」と呼ぶのも無理のないほど美人で、しかも生身の人間に近い。
体にはなにひとつ欠点がない。
作り物くさい点はここぐらいかしら。
陰毛はビキニラインの辺りで綺麗に揃えられていて、
その下には、肉厚な花弁が、男根を待ち構えるかのように開いていた。
あたし、本当にダッチワイフになってしまったんだ。
それならいっそ、意思も消えてくれればいいのに。
あたしはこれから、あのオッサンにさんざんいろんなことをされて、飽きられたら、荒ごみの日にポイッと捨てられてしまうのよ。
なんの抵抗も、意思表示もできず、自殺もできないまま……。
ほんの数時間前までは、トップアイドル「海崎なぎさ」だったっていうのに!
あたしは、悲しくて辛くて、なによりわけが分からなくて、
わぁ?っと声を上げて泣きたい気分になったけれど、もちろん泣くことはできなかった。
あたしにできることは、ぶらんこ椅子に座って、ダッチワイフと化した自分の姿を、ぼんやりと眺めることだけだった。
――「ただいまハニー」
帰ってきたわね、オッサン。
ああブルーだわ、いったい今夜はなにをさせられるのかしら。
朝は上の口でイったから、晩はいよいよ下の口ね。
悔しい。
どうしてこんなことになってしまったんだろう……。
「さてと、今夜から酒の相手ができて嬉しいよ。君、裸じゃあんまりだから、ガウンを買ってきたよ。これを着なさい」
あら、シルクだわ。
このオッサン、なかなか趣味はいいしお金持ちね。
まあ、あたしの仮の体(とでも表現しようかしら)のできも相当いいみたいだし、お金に困ってる人にはとても買えなさそうだものね。
それにしてもこのオッサン、人形の、しかもダッチワイフのあたしに向かって、
本物の恋人みたいに話しかけてくるんだけど、寂しがりにも程があるっての。
自閉症なのかしら?
「ねえハニー、私はね、君から見たら遥か彼方の国からやってきたんだよ。ファーイースト、ジャパンさ」
えっ、やっぱここアメリカ?
少なくとも日本ではないわよね。
ああ、口が利けたら。
それより、動くことができたら!
でもおかしいわ、朝、オッサンは、あたしを見て感じてる顔してる、って言ってたし、
あたし自身だって、オッサンのモノくわえたとき、頬の肉がすぼまったじゃない。
なのに、どうして、他の動作はできないの?
「私の国の芸能界は大騒ぎらしいよ、『海崎なぎさ』っていう超アイドルが、アメリカに着いて、最初に泊まったホテルで失踪したんだって」
あたしよ! あたしのこと! マネージャー! 社長! あたしはここよ! 助けて!
……って、口も利けないし動けないのに、どうやって知らせればいいのよ。
おまけに、居場所を知ったところでどうなるっていうの?ダッチワイフを一体見つけて、
「ふざけんな」でおしまいでしょ……。
「ねえハニー、君は本当に綺麗だね。私はね、人形のコレクターなんだよ。一番奥に私の別の恋人たちがいるんだけれど、君はどの娘(こ)よりも美しくてなまめかしい。最高だよ」
そうなんだ、だから話しかけるのがクセになってるのね。
愛情をかけてるってことか。
それにしても、他人と「お人形さんごっこ」(それも男だからどうかと思うけど、性差別しちゃダメよね)ならまだしも、ひとりで……。
オッサン、筋金入りの自閉症か変態ね。
恐れ入ったわ。
「ハニー、君を見てると欲情するよ……」
ああん、またあたしの乳首を弄んで……。
でもこの人、とっても上手。
そんなにいじらないで、本気で感じちゃう。
あっああ、吸い付いてきたわ……いやらしい音を立てながら、軽く噛んだり、舌で転がしたり……。
ああん、オ○ンコの奥が疼くわ、欲しくてたまらない。
ご自慢であろう立派な男根で、あたしのオ○ンコの奥まで、突きまくって欲しい!
「ハニー、君は本当に精巧にできているね。カワイイクリトリス……」
オッサンは、あたしのクリトリスにむしゃぶりついた。
舌でべちゃべちゃ舐め回して、微妙に強弱をつけながら、吸いつきはじめた。
ああん、感じるわ。
そんなにされたら、オ○ンコの奥から、いやらしい液がいっぱい溢れちゃう……。
「突いてあげるよ、君が満足するまで」
ああ、もう待てないわ。太くて硬いのを、何度も出し入れして欲しいの。
今すぐあたしを突いて突いて突きまくって!
「入れるよ、ほら、君の欲しかったのを」
ああーん。いいわ、太くて、奥まで届く。
もっと激しく出し入れしてぇ。あん、いい、イクイクイクゥ!
「すごい締め付けだよハニー、君のオ○ンコは最高だ!」
オッサンは、呻きながら、あたしのオ○ンコに、固くて太くて厚い肉棒を、激しく出し入れする。
太いカリが、あたしのオ○ンコをかき回して、子宮まで突き上げる。
ああ、こんなにイイのってはじめて。
あたし、どうにかなっちゃいそう……。
オッサンは果てた後、あたしを自分のベッドに連れて行って横たわらせ、きつく抱きしめた。
あたしは、海崎なぎさに戻るより、このオッサンに突きまくられてる方が幸せなのかしらと、ぼんやり考えていた。
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