優子の物語
第16話
『はぁ・・・』
前田の気持ちを聞いた俺は
心の中で激しく動揺した。
『俺には優子がいるんだ・・・』
そんな事を思いながらも、
どうしても前田や高橋の事を気にしてしまう。
どうにかして別の事を考えようとするが無理だ。
手が勝手にボイスレコーダーに行ってしまう位だもの。
結局もう一度聞いてしまった・・・
これをどうすればいいのかもわからないし、今は停学中だからいいけど、
停学じゃなくなった時に学校へ行ったらどのような対応をしよう・・
ボイスレコーダーを持って立ちすくんでいたが
部屋の時計を見ると同時にベッドに寝っころがった。
時刻は昼の1時をまわっていた。あっ!、と俺は確か
高橋が家に来る的な発言を
していたのを思い出した。
俺はベッドから起きあがって、携帯を手に取った。
あれ?今日は確か日曜だったよな?いくら私立とはいえ今日は学校ないよな。
そんな事を思いつつ、携帯を開いた。
『新着メール3件』
どうせ優子とおかんからだろうと思った。
でも心の中には高橋から着ていてほしいと願っている自分がいる。
受信ボックスを開くと、
高橋、おかん、優子の順で着ていた。
『高橋から着てるっ!』
『おぉっ!』
と叫んだと同時に
ピンポーン
とインターホンの音が鳴った。
メールを見たい気持ちでやまやまだったが、
流石に片手にケータイスタイルは失礼だと思ったので、
仕方なく携帯をベッドに放り投げた。
『はーい、どちらさんでしょっ・・・』
ドアを開けて目の前にいたのは頭にリボンを付け何故か制服姿の高橋だった。
やっぱり約束通りに来たなと思ったが制服は・・・
『おはよ、孝輔くん』
と言われたが笑顔で言われるもんだから
たまったもんじゃない。
そんな高橋に俺は
『こんにちはじゃね?
まぁ良いけど、やっぱり来たんだ』
『だって、孝輔君が良いっていうから・・・
もしかしてだめだった?』
『いやいやだめとか
そんなことマジでないからっ!逆に来てくれありがとな』
『そんなっ///』
顔を赤くした高橋を見て俺は無性に恥ずかしくなってきたのですぐに家にいれた。
『んで、なにするよ?』
『あたしは孝輔君とお話したいなぁ♪』
『いやもうすでに話してるし』
『そうなっちゃうよねっ
・・・んー、お腹すいたなぁ』
彼女がボソッと呟いたので
『昼食ってないならなんか作ってやろうか?』
『えっ?いいの!?』
ベッドに座っている俺と高橋。
でもなかなか彼女は目をあわせてくれない。
『んっ!まぁ昨日の残りのカレーがあるくらいだけどね』
『本当にいいの?』
『いやなら家に入れちゃいないだろ』
『えっ///』
また高橋は顔を赤くして下を向いてしまった。
『そんなに照れんなって』
『照れてないもん///』
どっからどう見てもあからさまにわかるくらい照れてる。
『はいはい、今から作ってくるから待っててな』
と言ってベッドから立って台所に向かおうとすると、
何かが俺の手をつかんでいる気がした。
その方をみるとやっぱり・・・高橋が掴んでる。
しかも俺の顔をまじまじと見つめながらだ。
『んっ・・・どうしたんだよ急に・・・』
『あのさ・・・ご・・・・
ご飯はいいから今は・・・
今は私の横にいてくれないかなっ///』
この一言にまた動揺してしまった。
俺には優子という存在がいるのに、
流石にこの状況はどうなのだろう・・・・。
『本当に高橋は世話が焼けるなぁ・・・わかったよ、横にいてやる』
『あ・・・ありがとう///』
結局横に座ってあげた俺だが、
掛けてあげられる言葉が見つからない。
沈黙が続く・・・流石に気まずいので話しかけようと
高橋の方を見ると高橋は横目でチラチラとこちらを見つめている。
俺はそんな高橋を見ると話そうとしていた話題を忘れてしまって
俺は何も話せなくなってしまった。
すると高橋が
『送っため・・・め・・・メール見てくれた///』
『いや高橋から来たメール見ようとしたらさ
誰かさんが家に来ちゃうんだもーん』
『だ・・・だれかさんて私///』
『さぁ、だれなんでしょうね♪』
『そのくらい教えてよっ!///孝輔君のいぢわるっ///』
『じゃあ俺の顔見てもう一回その一言言えたらいいよ♪』
『えぇっ///』
高橋の驚く顔があまりにも愛らしくてずっと見ていたい・・・
(いやいや、俺には優子がいるんだって!しっかりしろっ!)
『もう教えてくれなくていいもん///』
やっぱり高橋はまた顔を赤くしている。
『あー、残念だなぁ。教えてあげようと思ってたのになぁ』
そう言うと高橋は手をグーにして
膝のところにおいて下を向いてしまった。
『ハァ・・・しょうがないなぁ』
俺はそう言うと高橋の手をゆっくり
そして優しく開いて
彼女の手を握りしめてあげた。
『えっ///』
TOPへ戻る