大海走る白球
大海走る白球
倉間九十九


1ページ目

○初めに....
誰が何と言おうと、この物語はフィクションです。実際の人物・団体等とは一切合切関係ありません。





俺の名前は瀬ノ川純太。幼い頃から野球を初め、ずっと白球と青春を歩んで来た。高校でも当然、甲子園を目指した。だけど、やはり甲子園は遠過ぎた。大学でまた野球かなと、考えていた。

そんな時、俺の人生で一番信じられない出来ごとが起きた。

『広島東洋カープ。ドラフト六位。瀬野川純太。投手。和歌山県伊都口高校』

なんと、プロ野球に認められたのだ。瀬ノ川を瀬野川と間違えられたけど……

地方大会ではちゃんとレギュラーとして出れるようになったのは、三年生になってから。
夏の予選。

背番号1をもらい、初戦、二回戦ともに完封するも、三回戦ではコントロールが定まらず、2回途中で自滅してノックアウト。

そんな俺が、ドラフトに選ばれるなんて、1%も考えていなかった。

親は喜んでくれた。

監督は俺と同じように、ありえないと驚いていたが、祝福してくれた。

友人はお約束通り、サインを何枚も書かせやがった。

もちろん俺は喜び勇んでプロの世界に飛び込んだ。

もちろん、プロになったからには、俺は一流を目指す。

高校も問題なく卒業し、母校から大仰に見送られ、カープの春期キャンプに合流した。





清々しい空気だ。
朝飯を食い、練習場に集合。当然俺は二軍のキャンプ地からのスタートだが、それでも憧れの人ばかりだ。挨拶と体操が終わり、各自ウォーミングアップとなる。

周りを見回すと、同期の奴等も何人かいた。

今のうちに溶け込んでおくべきだろう。

まずは誰と話すべきか……などと考えていると、

「おーい」

後ろから声をかけられた。振り向くと、記憶の片隅にいるような気がする、若い選手が近付いて来た。

「あ」

思い出した。

「村井健二!」

確か俺と同じ高卒の投手だ。

「へぇ、俺のこと知ってたんだ。嬉しいなぁ。お前あれだろ?瀬ノ川純太。同じ高卒の投手だから覚えてたんだ」



そう、これが俺と村井の最初の出会いだったんだ。



「おないの誼ってことで、これからも仲良くやってこうぜ。キャッチボールの相手、いい?」

村井が人懐っこい笑顔を見せた。こいつは人見知りとは縁遠い奴なんだろうな…なんて思いながら、俺はキャッチボールの相手を了解した。

たぶんこいつとなら楽しくやっていけるだろうと思ったから。
次→
最新
採点
戻る トップへ
総合テキスト投稿&無料HP作成
(C)Chaos-File.jp